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三毛と茶虎、龍と仙蔵。(後編)

 三毛はちゃんと龍の箍になっている。  感情的になりそうなところをきちんとセーブできている。   「仙蔵と龍って、まさか。龍虎組:()なしの仙蔵|と、!?」  突然、野郎共から声が上がる。  奴らは、仙蔵と龍の名前が引っかかったらしい。 「てめぇら、俺らの色に手え出すってぇのか?」  仙蔵さんがドスのきいた声で怒鳴る。  すげぇ。  仙蔵さんは声を上げただけなのに、空間がビリビリ振動する。  さっきまで威勢の良かった野郎共6人が6人共身体を震わせてしゃがみ込んでいる。   「っひ、ぃいいいっ!!」 「も、申し訳ありやせん」 「証文を渡せ」 「っひ!?」 「証文はねぇのかってきいてんだよ!?」 「は、はひぃいいいいいっ!」  仙蔵さんは声を荒げると、兄貴気取りの野郎が懐から一枚の用紙を取り出した。  仙蔵さんが奪うと、ビリビリと紙を破った。 「目障りだ、失せろ!」 「ひぃいいいいいいっ!」  バタバタバタ!  今度は龍が声を上げれば、それを合図にしてあっという間に逃げ去った。  その日、オレたちは撮影どころじゃなくなった。  最悪だ。  こんな女装してる姿を仙蔵さんに見られちまうなんて……。  ……けど。  やっぱ仙蔵さんは格好いい。  仙蔵さんへの想いがより膨れ上がってしまうんだ。  ああ、でもどうしよう。  三毛は龍がベタ惚れだし、女装も正直似合ってるって思うからいいだろうけど……。  オレ、女装してる姿、仙蔵さんに見られた。  今はこうして抱きしめてくれてるけど。  もしかしたら、気持ち悪がられるかもしれない。  嫌われちゃうかな……。  オレは不安な気持ちを胸に抱いたまま、その日帰宅したんだ。  ☆三毛と茶虎、龍と仙蔵。・完☆

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