41 / 45
三毛と茶虎、龍と仙蔵。(後編)
三毛はちゃんと龍の箍になっている。
感情的になりそうなところをきちんとセーブできている。
「仙蔵と龍って、まさか。龍虎組:去 なしの仙蔵|と、帝王!?」
突然、野郎共から声が上がる。
奴らは、仙蔵と龍の名前が引っかかったらしい。
「てめぇら、俺らの色に手え出すってぇのか?」
仙蔵さんがドスのきいた声で怒鳴る。
すげぇ。
仙蔵さんは声を上げただけなのに、空間がビリビリ振動する。
さっきまで威勢の良かった野郎共6人が6人共身体を震わせてしゃがみ込んでいる。
「っひ、ぃいいいっ!!」
「も、申し訳ありやせん」
「証文を渡せ」
「っひ!?」
「証文はねぇのかってきいてんだよ!?」
「は、はひぃいいいいいっ!」
仙蔵さんは声を荒げると、兄貴気取りの野郎が懐から一枚の用紙を取り出した。
仙蔵さんが奪うと、ビリビリと紙を破った。
「目障りだ、失せろ!」
「ひぃいいいいいいっ!」
バタバタバタ!
今度は龍が声を上げれば、それを合図にしてあっという間に逃げ去った。
その日、オレたちは撮影どころじゃなくなった。
最悪だ。
こんな女装してる姿を仙蔵さんに見られちまうなんて……。
……けど。
やっぱ仙蔵さんは格好いい。
仙蔵さんへの想いがより膨れ上がってしまうんだ。
ああ、でもどうしよう。
三毛は龍がベタ惚れだし、女装も正直似合ってるって思うからいいだろうけど……。
オレ、女装してる姿、仙蔵さんに見られた。
今はこうして抱きしめてくれてるけど。
もしかしたら、気持ち悪がられるかもしれない。
嫌われちゃうかな……。
オレは不安な気持ちを胸に抱いたまま、その日帰宅したんだ。
☆三毛と茶虎、龍と仙蔵。・完☆
ともだちにシェアしよう!