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第四章・2
二人でバスを使おう、と征生は楓を誘った。
「お風呂エッチはしませんよ。昨夜が濃すぎて、僕ふらふらなんですから」
「いや、一度きちんと見せておこうと思って」
明るい照明の下で、征生はその逞しい裸身を楓にさらした。
背中には、こちらを向いて咆哮している金色の竜が大きく彫られている。
肩にも尻にも太腿までも、文様が施されている。
「私は、こういう人間だ。やめるなら、今の内だぞ」
「やっぱり、ヤクザは怖いな」
でも、と楓はその背に縋った。
「征生さんなら、好きです。ヤクザだからじゃない。あなただから、好きになったんです」
「ありがとう、楓」
心底惚れ抜く価値のある人だ、と征生はその手を取った。
温かなシャワーを二人で浴び、熱いバスタブに身を沈めた。
「楓」
「ダメッ」
するりと伸びて前にいたずらをしようとする征生の手を、楓はつねった。
「まだ、体がだるいんだから。我慢してください」
「仕方ないな」
くすくすと笑い合いながら、ゆるりとバスタイムを楽しんだ。
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