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第四章・4

「服、か。どちらかと言えば、まずは靴や時計、ベルトから選ぶことをお勧めするな」 「小物から、ですか」  二人は、ブティックに来ていた。  ちょっと良い普段着が欲しい、と言う楓に、征生はそんなアドバイスをしていた。 「どんなブランドを身につけていても、履いている靴が安っぽければ台無しだ」 「なるほど~」 「靴を買いに行こう。俺の行きつけの店を教えてやる」 「はい」  楓はルンルン気分でついて行ったが、その店の看板に息を呑んだ。 「フェラガモ……」 「オーダーメイドにするか」 「いえ! いいです! 普通ので、いいです!」  ずらり並んだ革靴の香りに包まれながら、征生と楓は店内を見て回った。 「これなんて、どうだ?」 (36万円……!) 「じゃあ、これは?」 (17万円!) 「こっちのは、どうだ」 「これにします」  7万円のローファーに、征生は瞼を閉じた。 「楓。もしかして、値段で決めていないか?」 「いいえ?」  とぼける仕草も可愛い楓だ。  結局7万円のローファーを買って、二人は店を出た。

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