5 / 80
第5話
姉が連れられて行った後をこっそりと追ってしまった。
僕はその日藏に閉じこめられていた。
姉のために祈るという名目で。
だけど、僕は蔵の二階から外へ出る方法を知っていた。
姉を追ったのは、もう一度だけ姉を見たかった、それだけの理由だった。
姉が町の社に連れて行かれることは知っていた。
姉はお堂に籠もり、神様のものとなるのだ。
僕はお堂へと走った。
美しい姉をもう一目見たくて。
ああ。
行かなければ良かった。
お堂の扉は一晩、人の力では開かないと聞いていたのに、簡単に開いた。
お堂に灯る蝋燭の灯り。
姉の白い身体が浮き上がっていた。
例えではなく、文字通り。
姉はよだれをたらし、痙攣していた。
宙に浮きながら。
白い腕も脚も、は見えない何かに掴まれているかのように、宙に止められていた。
はだけた白い着物から豊かな胸がこぼれていたが、それは見えない何かにもみし抱かれているかのように、形にをかえ、凹こむ。
ああああ
あの密やかに息を乱すだけだった姉様が、叫ぶ。
身体を震わせる。
淫らに腰が揺れる。
何かが姉様を乱していた。
僕は怯えた。
今なら、僕にもわかる。
姉は僕があの男に乱されたように、乱されていたのだ。
目には見えない何かに。
姉様には抵抗する様子もなかった。
僕達は、何かに抱かれるために育てられてきたから、受けいれてしまうのだ。
姉の狂乱ぶりはそれにしてもすさまじかった。
もっと、もっと、
姉様は叫んだ。
あれは苦痛の叫びだったのかもしれない。
どちらにしろ、僕達は受け入れるしかないのだ。
僕達の夜の密やかな吐息など、これに比べれば何でもないことだった。
僕が思っていた神様との婚礼とは違い、それは動物的であまりにも淫らな何かとの性交だった。
見えない神はどれだけ淫らな姿をしているのか。
僕は震えた。
姉様は獣のように吠えた。
姉様の白い柔らかな乳房が、何かにつかまれるように歪み形を変えていく。
淡い乳首が何かに押しつぶされるようにうごめく。
その度に姉様は声を上げた。
僕が何度となく指で弄ったあそこがめくれ上がるように開かれていた。
見えない何かが入っているのだ。
姉様のそこから透明な液と、血液が白い脚に伝う。
姉様は腰をふる。
姉様の後ろの穴も広げられているのがみえた。
前から後ろから同時に、姉は貫かれているのだ。
しかも信じられない程大きな何かで。
それは恐ろしく淫らで、僕は初めての射精を覚えた。
そして、姉様がのけぞり、叫び、震え。
がっくりと倒れた。
その瞬間、姉様は床に叩きつけられるように落下した。
僕は泣きながら姉に駆け寄った。
姉様は恍惚の表情を浮かべながら死んでいた。
死んでいたのだった。
ともだちにシェアしよう!