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第6話

 後ろの襞を舐められ、舌さえそこに入れられる。  それは光の中で行われるため、僕には目隠しがされている。  視覚を遮断されると、感触が強調されて、耐え難い。  舐める音が聞こえることも辛さを増す。  濡れた熱い舌。  その厚みさえこの身体は覚えてしまった。  ダメ。   嫌、  ダメ。    そんなことを言っても無駄なことはわかっているのだけど、僕はそう言いながら喘ぐしかない。  前を自分で勝手に弄らぬように、両手も縛られている。  今日の男からのレッスンは、ここを舌で刺激されるだけでイけということなのだろう。  それだけでは、舌だけではイケない。  せめて指を入れられて、前をこすってくれれば。  でも与えられる快感は鮮明で、僕は震える。  男は執拗だ。  この男のせいで、僕は胸だけでもイケるようになり、後ろの穴を弄られるだけでもイケるようになった。  でもさすがにコレだけでは、舌だけでは。  辛すぎて、シーツに前をこすりつける。   その刺激でいきたくて。  男が尻を持ち上げ、そうさせてくれない。  「お願い、許して・・・イきたいィ」  僕は懇願する  だけど男は許してくれない。  男の舌が僕の襞を舐めるおとが響く。  尻を広げられ、舐められる。  あ、嫌。  お願い、お願い。  身悶えし、声が漏れる。    穏やかな快感で追い込まれることが一番僕にはツライことを男は知っているのだ。    お願い お願い。  僕は懇願する。    せめて尻を噛んで。  強い感触が欲しくてたまらない。  男は嘗めることさえやめた。  男は穴を指でなぞるだけ。    ゆっくりと。  また謎かけだ。  指を入れて。  僕は懇願する。  それならイケる。   しかし、男は指で執拗になぞるだけだ。  執拗に。  男が求めている答えを知り僕は絶望する。  ここに男が何を入れたいのかはわかっている。    ダメ、入れるのはダメ。  それはだめぇ。  僕はよだれを垂れ流しながら絶叫する。  それだけは。  ああ、祭りはいつだろう。  僕はその日に、貫かれ、死ななけばならないのだ。  だからダメなのだ。    ダメ。  僕は絶叫した。  男のため息がした。  男は僕をひっくり返した。  男の舌が僕乳首を舐める。  痛くなるまで吸われ、甘く噛まれる。    ああ、  それ、嫌、嫌、  いやぁ  僕はそう喘ぐ。  でも、男の舌に胸を自分からこすりつけていた。  僕の穴に男の指があてがわれる。  待っていた刺激に腰が揺れる。  男が笑った。  指を入れられこすられ、僕は射精した。    僕は男がつらくないのかと思った。  ずっと、いっているのは僕だけなのだ。   多分、僕のいないところで男も抜いてはいるのだろうけど、僕にもツライけれど、男にだってツライはずだ。   こんな身体の重ね方は。   男が変態なのは間違いないが、あれだけガチガチにしているのだから、つらくないはずはない。  僕に突っ込む意志は示しているのだし。   正直、気がついたら誘拐され、身体をなぶられているのは許せない。  だが、僕はいずれ、なぶり殺される身。  自分に行れたことの意味も良く知らないまま、恐ろしい快楽の果てに死んだ姉よりは、まだ何がおこるか知っている方がマシかもしれないとさえ 、最近は思い初めている。  どうやら男は僕が望まなければ、入れることはしないようだし。  言葉さえかけられないけれど、風呂へ入れる手の優しさ、出される食事のメニュー、ベッドで苛めぬく時でさえ、思いやりのようなものは感じられた。  多分、男は僕が最後まで望みさえしなければ、祭りの日には里へ帰してくれるのではないか。  僕はそう思い始めていた。   だって、無理に挿入しようとは男は絶対しないからだ。  僕の言葉を待っている。  どんな理由からかはわからないけれど。  ここから出るためにも、男と意志を通わす必要がある。    僕はそう考えた。

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