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第12話

 彼の資料は期待以上だった。  教授に優秀だと言われているだけはある。  余所者にはけっして明かされることのない、あの祭りについてかなり調べてくれていた。   「人の精を放ったり精を受けたりしてはならない」  花嫁達に禁じられたている項目の一つを声を出して読む。  セックスがエネルギーのやりとりであるという考え方か。  精液のやりとりこそが重視されているのだ。  精液を飲むことが相手のエネルギーを得ると言う考え方の民族はまだ存在している。  彼もそれを指摘していた。  セックスが祭りの主題になることは世界共通だ。  神との婚姻を模倣する祭りもある。  しかし、神と性交し、ヤリ殺される祭りは極めて珍しいだろう。  彼は神と呼ばれる、その土地にエネルギーをセックスを通して送り込むことこそが、祭りの意義なのではないかと推測していた。  俺の推論と同じだ。  彼は実際に祭りでおこる(と思われていること)事 を、世界にある祭りとの類似点との比較を、並べて書いていた。   呪術的な意味合いも含めて。  それは、誰も信じられない記述(神とのセックス 10年に一度の死体の隠蔽、神の花嫁と性交したため死んだ人々の話等)、何より神が実在するという前提で書かれていることを除けば、なかなか良い論文だった。  秘祭であるため、町の人間以外は知らない事実が詳細にしるされていた、その上彼はあの町の宗教的指導者の身内だったため踏み込んだ知識もあった、俺にはこれ以上必要なものはない位の資料だった。  彼がこの大学に来たのは俺を追いかけてだが、彼はこの学問をつきつめるべきだ。  わかりやすい一般向けの本を学生ながら出している俺より、良い学者になる。  イケメン学者(実際は学生だけど)として、俺の本はかなり売れている。  俺は正当に彼を評価する。  抱かれること以外でも彼はちゃんと優秀だ。  まあ、俺が彼を抱くことで取り込んだのは事実で、  抱いたのは彼しか適任がいなかっただけなのだけれど、彼は俺の予想を超えて素晴らしい。  抱いた感覚も、予想以上に良かったけどな。  彼はあの町の人間だから抱いた。  めったにいない、あの町を離れる数少ない人間だから。  父の前妻はどうしても学びたいことがあり、4年間町を離れ、大学に行ったが、やはり帰りたくてたまらず、恋人だった父を連れて帰ったのだ。  結果的に父は娘と身体の一部を失って、町から出たけれど。   前妻は夫と娘より町をとった。  そういう町なのだ。   それでも、たまに、のまま町を離れる者もいる。  俺はあの町について調べる必要があった。  それにはあの町に協力者が必要だった。  「あの町に戸籍のあって、こちらに住所があるヤツをみつけられるか?」  俺は非合法なアクセスを行うことを生業にしている友人に頼んだ。  「それはそれ程難しくはないな」  友人は請け負った。  でも、その代わりにと、  友人は僕に要求した。  まあ出版社にはコネがある。  彼の指名したイラストレーターに彼の理想の嫁とやらを書いてもらう件はなんとかなった。  連載を何個か引き受けさせられたが。  「金じゃないんだよ」  二次元にしか興味がない友人は額縁に入った報酬を抱きしめながらそう言った。  まあ、俺にはわからないだろう。  抱けない女に価値があるわけがない。  で、数少ない何人かの中に彼を見つけた。  「コイツはどう?まだ、予備校生だけどな」  友人は言った。  彼が適任なことはすぐわかった。  一人一人、調査していく中で確信した。  何故なら、実物の彼見ただけで彼が何なのか分かったからだ。  彼が何故、あの幸せな町を出ようとしたのかも。    俺は予備校の前で彼を捕まえた。  こんな夜遅くまで勉強していたせいか、疲れた顔をしていた。  彼は可愛いらしい顔をしていたけれど、まだ都会慣れしていなくて、垢抜けていない。  似合わない黒縁眼鏡がいかにもガリ勉風だ。  でも悪くない。  眼鏡を外して いかにもな前髪がかぶさるのをなんとかすれば。  うん悪くない。  これなら、大丈夫。抱ける。  「お話ってなんですか」  固い声で彼は言う。  知らない人間に声をかけられて、彼は警戒している。  余所者を避ける町から来たのだ、ガードは堅い。  俺は立ち話も何だし、でもそんなに長く話すつもりはないからと近くの公園まで彼を連れて行った。  ベンチに並んで座る。  もう、夜遅い。  公園には誰もいない。  街灯の光がベンチに落ちるだけだ。   「話って」  さっさと終わらせようと切り出す彼の肩を不意に俺は抱き寄せた。  田舎の子だな。  公園なら大丈夫だと油断したんだな。  悪くない抱き心地を堪能する。  「何するんですか」  彼が俺を突き飛ばそうとする。  細身の彼ではそれは無理だ。  俺は鍛える必要があってずっと鍛えてきたからな。  「分かってる、男が好きなんだろ」  僕はなだめるように抱きしめながら言う。  「都会に出てきたのは、だからだろ」  俺は彼の耳を甘噛みして囁く。   彼が息をのむのが分かった。  抵抗が緩む。  耳が弱いと、俺は記憶しておく。  「あんな小さな町では、許してもらえないよなぁ、 隠して生きるのつらかっただろ」  俺は片手で彼の身体の自由をなんなく奪う。  そして自由に動く手で、彼の下腹部をズボンの上から撫であげてやる。  「何す、る」  そう言いながらも彼の身体の力が抜ける。  ふう、  吐息を漏らす。  彼の吐息に色がつくのがわかる。  ゆっくり動かしてやる。  はぁ、  辛そうに眉が上がり、吐息が零れる。  いい顔だ。  「俺もそうだから、見たらわかるんだよ」  俺は彼のシャツのボタンを一つ一つはずしながら囁く。  コレ 半分ウソ。  俺はどちらかといえば女の方が好きだ。  ただ、10才程度の少年に欲情してしまったことがかなりショックで 、男相手も試してみることにした。  結果、可愛いければ男の相手も出来ることは分かった。  女の方が妊娠さえ気をつければ、面倒がないから好きだが、可愛いなら男でも全然イケる。  その後、幼い少年には欲情することはないことがわかったので俺は安心した。  ただし、思い出の中の少年だけは例外だ。   思い出すだけて暗い欲望が身体に灯る。  でも、色々試したおかげで、男を相手したいやつはわかるようになった。  彼は間違いない。そちらだ。  一目見てわかった。  慣れてないことも。  「男が好きなんだろう」  服の上から胸をなでてやりながら言った。   「何を言ってるんですか」  彼が声を荒げる。  胸を這う俺の手を払おうとする。   「バレるのが怖くて、都会まで逃げて来たのに、今こんなとこで声なんかあげて、男と抱き合ってるのを見つかるのは構わないのか?」   俺は見つかっても構わないけどな、と付け足す。  俺はボタンが全部はずれたシャツを開き、下に着ていたTシャツをまくりあげ彼の胸を露わにしながら言う。    「胸を男にいじられてるとこを人に見せるのか?」  俺は彼に言いながら、掌で胸をさする。  素手の感触に彼はピクンと震える。  ここは夜になれば、カップルがやっていることで有名な公園だ。  覗き趣味のヤツは別として、誰が何していても、それが男同士でも気にも止めない。  それが大都会だ。  だけど、彼はそれを知らないだろう。  小さな誰もが知り合いの町では、男同士 が公園でこんなことをしていたら大ニュースだ。  人が来るかもと言う言葉に彼は身体を強ばらせる。   あらわにした胸にキスをしてやる。  軽くそっと唇を落としただけだ。  細身の綺麗な身体だ。   悪くない。  淡い乳首の色もいい。  いじって淫らな色に育てたくなる。  舌を這わせたくなる鎖骨もいい。  コレなら問題ない。  それどころか充分楽しめる。  彼は真っ赤になる。  こんなキスだけでか。  可愛いじゃないか。  行為をエスカレートしてみる。    滑らかな胸を舌で堪能する。   肌を陵辱する舌に彼は逆らわず、震えながら耐えていた。  ずっと、ずっと夢見てたはずだ。  男同士のセックス。  逆らえないはずだ。  その為に逃げてきたんだろ、町から。    抵抗はなくなっていた。  「いい子だ。可愛い」      ささやくと彼は少し震えた。  すっかり力の抜けた彼の身体を、思うがまま手で舌で貪る。  感じやすい乳首を噛んでやる。  背中や脇を撫でて、そこでも感じることを教えてやる。  彼は身体を震わせ耐える。  もう大声をあげて、手を払い逃ようとはしない。  見つかることの怖さと、それより、何より、彼自身が望んでるんだ。  この先を。  「興味あるんだろ、誰ともまだなんにもしたことないんだろ。田舎じゃすぐうわさになるし。」  俺は彼を誘惑する。  「なあ、まだこんなことされたことはないだろ」  下をズボンごしにこすってやる。  いやらしく。  指を使う。  はぁ  彼は声を漏らす。   ろくなオナニーもしたことないだろう彼では、耐えられないだろう。  俺はさんざん勉強してきたからな。  そこにさらに刺激を与えてやるために、彼のズボンのボタンをはずし、チャックをおろし、下着の中に手を入れる。  彼のソコはすっかり立ち上がっていた。  好みとしては、後ろだけでいかせるのが理想だが、最初からはさすがに無理だしな。  直接触れてやるだけで、彼は震えた。  今日はまずここで射精させる。  そして、まず入れることを今日から教えてやらないとな。   そして、いずれ後ろだけでイケるようにしよう。  どう教えてやろう。  とりあえず、今日は後ろに突っ込む。  泣いても許してやらない。  俺はそれを考えると楽しくなった。  でも気の毒にとも思った。  初めてが公園のベンチだなんて。  しかも俺が相手だなんて。  でもやめてやるつもりはない。  彼を手に入れる必要があるし、  それに公園で全裸にして突っ込むというシュチュエーションはなかなか刺激的でもあるからだ。   いつか俺とは違う優しい男に、優しい夜は教えてもらうといい。   すっかり抵抗がなくなったので、ご褒美に、彼の乳首を甘く噛んでやる。  あああ  彼はとうとう声をあげた。  生まれて初めての嬌声。   彼は声を出すことを覚えた。  俺は楽しくなる。

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