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第16話

 酷い人。  でも、本当に酷い人ではないとも思う。  あの日も結局はオレに衣服を着せて、家まで連れて帰ってくれたし。  この人はオレに無理強いはしたことないし、期待を持たせるようなことはしない。  オレが従ってしまうだけで、それをこの人が面白いがっているだけだ。  やはり酷い人。  「ここでヤろう」  あの人はまた酷いことを言う。  楽しそうに。  真昼の通りで。  人通りは少ないとはいえあるのに。  「この電柱の陰なら大丈夫だって」   あの人は優しく囁く。  「俺のコートで隠すから見えないって」  この人は変態で最低で、自分本位で。  それでもオレは言うことを聞いてしまうのだ。  この人は電柱の陰にオレを連れ込む。そして電柱の、側の壁に腕をつき、オレを腕の中に閉じ込める。  長いコートをカーテン代わりにしてオレを覆い隠し、この人はささやく。  「自分で胸をだせ」  オレは自分のコートのボタンを外し、セータをまくりあげ、胸を露わにする。   「弄れよ」  言われるがまま自分胸をもみしだき、乳首を摘み 吐息を漏らす。  「お前、可愛い」  あの人がそうわらう、    この人はやはり酷い人。  オレはこの人が好き。

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