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第18話
「自分からキスしてくれたんですよ」
俺は教授に言う。
「それ、何回聞いたかな。浮かれてるな」
教授はため息をつく。
「すごいエロいし、すごい可愛いし、ああぶち込みたい」
俺はため息をつく。
「喫茶店でする話かな。お前、性格変わったんじゃないか?」
教授はコーヒーに砂糖を入れながら僕を不思議そうに見る。
発電機とボイラーのための灯油がさすがになくなるので、街におりてきたのだ。
アイツを置いて行くことには不安があったけど、鎖で繋いでいるし、これまで逃げる様子をみせたこともなかったので手のひらに「すぐもどる」と書いて置いてきた。
「お前のことだから、酷い目にあわせているんじゃないかとか、もしかしたら死んだ方がマシだったんじゃないかな、と思い始めていたからね、ホッとしたよ。私の山荘だしね」
教授とはこの日に会うことを約束していた。
壁に鎖を打ち込んでいることは黙っておこう。
「さすがの君でもまだ そのなんだ」
言いにくそうに教授は言う。
「アイツに、ここにぶち込んでお願いと泣きながらケツを突き出させることに、成功してないってことですかね」
俺は具体的に言うとコーヒーを教授は吹き出した。
「喫茶店でする話じゃないね」
教授は赤面している。
「もうひとり花嫁がいるんだろう。その子がいる限り君の花嫁は資格を放棄しないと思うんだ」
教授の言葉は尤もだ。
俺もそれは思っていた。
ただ、町の連中が花嫁が一人消えても騒がないのは、まだもう一人花嫁がいるからなのだ
10才の少女が今年捧げられたらなら、今年生まれた子供が二人選ばれ次の花嫁になる。
花嫁は常に二人いる。
何故、二人を一緒に暮らさせるのかは、互いを人質にするためだ。
姉がアイツのために逃げることを拒否したように。
「祭りの日 脱出させるつもりではいるんですが、町の連中は危険なので」
もう一人の花嫁がいる限り、彼らはアイツを探しに来ない。
「祭りまで監禁するだけでは何故だめなんだい?資格を何故失わせないといけないんだ」
教授が尋ねる。
ずっと気になっていたらしい。
「死にます、彼が調べてくれたんですが、祭りの前に町を出て、買い物に出た花嫁が土砂崩れで祭りに帰れなくなったことがあったそうです。花嫁は一夜で老人になり亡くなったそうです。そして、町に残された花嫁が儀式に参加した」
あっさり俺は答える。
「じゃあ、その女の子を祭りの当日に逃がしたところで」
教授は絶句する。
「死にますね。かといって10才の女の子にぶち込むのはさすがに俺でも、無理ですしね」
あの日の10才の少年ならば可能だっただろうが、それは言わないでおく。
あの日、姉が俺と逃げるのを拒否した理由。
あの日、姉が死んだから、アイツは今生きられていると言うこと。
「・・・どうするんだい?」
教授は尋ねる。
「仕方ないてす。もう一つのプランに移ります」
俺は覚悟を決めた。
とにかく、アイツだけでも救いたくて、とにかく資格を失わせたかったけれど。
それは、どうにも無理そうだ。
なら、仕方ない。
「神の方をどうにかします」
俺は宣言した。
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