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第19話

 チャンスだった。  男がどこかへ行って家にはいない。  僕は鎖をなんとかすることにした。  男は鎖を短いもの変えて、ベッドの付近しかうごけないようにしていたから、これは余計にチャンスだった。  長い鎖をつけて逃げるのは大変だからだ。  鎖と手足を繋ぐ環はしっかりした鍵で開くようになっていて、僕になんとかできるものではなかった。  もちろん、環と鎖をきるのも無理だ。  でも、だ。  僕は丹念に調べて、発見した。  この鎖と壁が繋がっているところは、粗い作りになっていると。  男は鎖の最後の環を、壁に撃ち込まれたフックに引っ掛け、フックから鎖が離れないように、フックのUの字になった開いている部分を塞ぐようにする鍵のようなものを取り付けていた。  フック自体は丈夫だ。いくら引っ張っても無理だろう。  でも、この明らかに後付けされたフックの鍵の方は作りが粗いし簡単だ。  鎖を替える時に男をが使っていた鍵はあまりにも簡単な形をしていたことからも、それは間違いなかった。   僕はローブの裾を手繰る。  裾の縫い目をあけて、そこから針金をとりだす。  針金は、台所のテーブルにある造花の中から取り出した。  男が造花に触れたならすぐにバレてしまうけど、男は造花に触れることはないだろう。  鎖を長くし、台所や廊下に自由に行けるように男がした時から、男が見てない間僕は針金を探し続けていたのだ。  見つけてからもチャンスがなくて。  男が数時間も僕から目を離すこともなかったし、ベッドまで針金を持って来ることも出来なかった。  ローブを与えられて、その裾 に隠すことで、やっと針金を身に付けることが出来た。  簡単といっても、僕ではなかなか開けられる鍵じゃない。  でも時間さえあれば。  でも多分、なんとか。  僕の町は山奥にあるから、ちょっとしたことでは業者を呼んだりは出来ない。   だから、住人は各自それぞれちょっとした技術を持っていて、それで助け合う。  簡単な車の修理だったり、水周りの修理だったり。  納屋や家畜をのたまめの鍵が壊れた時などの鍵の取り外しなども。  僕は針金で簡単な鍵を開ける方法を教わったことがあった。  姉様が納屋の鍵をなくした時に。  男ができるだけ遅くなることを僕は願った。    僕は必死で逃げた。  だけど、監禁生活のせいか足がうまく動かない。  ローブしかまとっていないため、身体のあちこちを枝や草が切っていくのを感じた。  もしかしたら、裸足の足先からは血が出ているかもしれないけれど。  振り返って男を見たりはしない。  でも男の怒りが空気を伝って伝わってくる。  逃げないと。  僕は必死に山を駆け上る。  僕は最後の鎖を壁から外した。  まだ男は帰ってこない。  男が出て行った後、しばらくしてからエンジン音が小さくしたから、どこか離れた所に車を置いているんだと思う。  つまりここは車が通れるような道に面していないってことだ。  山の中に逃げてしまえば簡単には見つからないけれど、僕が遭難してしまう。  でも、道から逃げれば帰ってくる男に見つかってしまう可能性がある。  でも、車で通る人に助けを求められる可能性もあるのだ。  僕はまず道を見つけて、道の横の茂みをかくれながら逃げることに決めた。  もし、車が通ったら助けを求めよう。  僕は片手にかかえた鎖を 困りながら見る。  壁から鎖を外したけれど、僕から鎖を離すことは僕には無理で。  仕方なく、抱えていくことに決めた。  僕は玄関まで歩く。  そして、ドアを開けた。  ひさしぶりの外だった。  僕は大きく息を吸う。  自由の空気。  玄関の先はしゃれたポーチになっていて、ベンチも置いてあった。  姉様と夕暮縁側の前においたベンチで、二人で座っていたことを思い出す。  山荘は洋館で、山の一部を無理やりきりひらいてつくった場所にあるようだった。  本当に山の中にある。  変人の住処だ。  ポーチの前に獣道のような道があり、おそらくあそこが車が通る道へと続いているのだろう。  僕はその獣道を降りることにした。  かなり険しい。  弱った足がもたつく。  おりている途中で僕はエンジン音を耳にした。  そして、ドアがバタンとしめられた音も。  僕は真っ青になった。  男が帰ってきたのだ。  僕がこのまま降りたら男と出会ってしまう。  僕はとりあえず、来た道を駆け上がろうとした。  山の奥でとりあえず、やり過ごすんだ。    「何してんだ、オマエ!!」    怒鳴り声がした。  初めて聞く声だったが、男の声であることは明白だった。僕はとにかく、駆け上がった。 必死でデタラメに走って、どれくらいだろう。  道なんてないし、何度も転んだ。  両手両につながる鎖を僕は家かかえて走っていたが、つまづいて、落としてしまった。  慌てて、拾おうとするがどこかにひっかかったらしく 、鎖が動かない。  そんな、そんな。    ガザっと音がして草をかき分けて現れたのはやはり男で。  僕は絶望した。   「オマエ何逃げてんだよ」  低いよく響く声は震えるくらいの怒りに満ちていた。  それは初めて聴く男の声で。   そして僕は初めて男の顔を見た。  「えっ」  僕は呆然とつぶやく。  僕の前に立った男の人の顔を僕は知っていた。  切れの長い目 、通った鼻筋 、薄い唇。    「姉様」  僕はつぶやく。  いや、似てるけど、全然違う。  男の人だから、姉様のような繊細さはなく、綺麗ではあっても野生的で。  でもひどく似てた。  その目は、思わず怯えて身体が固まってしまうくらいの怒りに満ちていた。  「何逃げてんだよ」  僕の前に立ち、男は繰り返した。   僕はよろよろと後ずさり、よろけてころんだ。  男は飛びかかるように僕をおさえつけ、組み敷きながらまた言った。  「俺から逃げてんじゃねぇ!!」  綺麗な顔が僕の目の前にあった。   「畜生、畜生」   男が呻く。  僕の顔を抑え、喉に噛みつく。  それは酷く痛くて、僕は悲鳴を上げた。  喰われる、そう思った 。  頭を抑えられ、口の中に指を強引に突っ込まれ 、えづくほど奥までかきまわされる。   「ああ、ここを犯してやりてぇ、口の中舌でガンガン舐めまわして、俺のもん突っ込んで腰打ちつけて、無理やり飲ましてやりたい」  男はもう、肩にひっかかっているだけのローブを剥ぎ取る。  乱暴に、何の準備もなく、後ろの穴に指突っ込まれた。  僕は痛みに呻く。  「ここにぶち込んで、ここをガンガン突いて、ヤり殺したい」  男の声は酷く怖い。  無理やり指を動かされて、僕は苦痛の悲鳴をあげた。  乳首に歯をたてられ、血がにじむまで噛まれる。  噛みちぎられるかと思った。  僕の顔を挟みこみ、顔を近づけて、男は怒鳴った。  「俺から逃げるな!!」  綺麗な顔が、怒りに歪んでいた。  僕はその場で手ひどく男に犯された。  そう、犯された。  男のモノを入れはしなかったが、男をはただ僕を罰するために犯した。  普段の優しさなど全くない手が僕の胸を犯す。  男は僕の上半身にのしかったままだった。  強くつかみ、乳房などない胸を揉みあげる。  痛くて僕は顔を背ける。  「顔そらすんじゃねぇよ」   男が無理やり自分の方へ僕の顔を向ける。  顎をつかんで自分の顔を近づけた。  キス、いや口の中を犯される、と怯えたが、僅かに唇がふれた場所で男は思い止まり、舌打ちした。  代わりに、歯形がつくほど喉を噛まれた。   「喰い殺してやりたい」  男は呻く。  僕は震える。  男は胸に爪をたてる。  痛い  僕は悲鳴をあげる。  男は意地悪く笑いながら、優しく胸を撫でる。  はぁ  不意に与えられた優しさに僕は思わず 、吐息をこぼす。   男はさらにねっとりと血のにじんだ乳首に舌を絡ませる。  あ、嫌  僕は思わず声を出す。  「いい声出すくせに」  男は唸るように言う。  音をたてて吸い上げ、舌で乳首を転がされる。  嫌、やめて、嫌  僕は哀願する。  「そんな声で嫌って言われてもな」   男は意地悪く笑い、僕の胸にその行為をくりかえす。   吸われ、舐められ、転がされ。  それ、嫌、ああ、   僕は声をあげる。   「これが好きなくせに」  男が髪を痛く掴んで引き寄せて、僕の耳元でささやく。  胸全体をやんわりと揉むように撫でられる。    時々、はじかれるように乳首が親指で押しつぶされる。   はぁん  それも声になってしまう。  「これも好きだろう、なぁ、好きなくせに」  耳を舌でねぶりながら男は囁いた。  その感触にも身体が震える  「とことん犯してやる」  男は忌々しげに言った。  乳首を甘噛みしながら、もう片方を押しつぶされ、身体を逃げるようによじれば、さらに胸を吸い上げられ、舌で乳首 を転がされる。   嫌、嫌、  ああ、  やめて、  嫌  僕は声をあげつづける。   男は僕の胸を弄ることに元々執着していたけれどこのしつこさはその比ではなかった。  甘く噛まれ、強められ、吸われ、舌で絡めるように舐められ、また噛まれる。   嫌、  嫌、  僕は叫び射精する。  「胸だけで余裕でイケるもんなあ。俺が開発したから」  男は僕を許す気はない。  噛み跡や、血のにじむ胸をやわやわと撫でさすりながら、ささやく。  許して。  僕は懇願する。  男の言うとおり、僕の胸はそんな風にさわられるだけでも、快感を僕に送る。   「気持ちよく出してるくせに。ここ弄ればまた立つんだろ」  男の声が耳を犯す。  チュッ チュッ チュッ  乳首を軽く吸い上げることを男は繰り返す。     軽く甘い感触に腰が揺れる。  はぁ あ はぁ   吐息のような声を繰り返す。  本当に、また立ち上がっていた。   「俺がこの身体をこうしたんだ、俺が」  男が絶妙の強さで 乳首を押しつぶし回す。   あああ   声が止まらない。  また出してしまいそう。   許して、もう許して  僕はすすり泣く    「許すわけないだろ!!」  男は怒鳴った。  また乳首を強く噛まれ、血が滲む。   痛い、やめて    男を引き離そうと、必死で暴れるけど、なんなく抑えこまれる。  僕は本気で恐怖する。  今まで男はそれでも僕をいたわってきたけれど、今日は違う。   「俺から逃げるなんて、許さない!」  男は怒鳴る。  

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