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第48話

 「ふざけないで下さい。オレがして来たこと無駄にするつもりですか」  オレは怒鳴った。  「しかし、ここから病院まで歩くのは」  教授がグダグダ言うのがうるさい。   「血まみれのオレを降ろしてるとこ見られたら、事情を聞かれるのは教授でしょう。祭りが終わってしまうし、町を離れているとこの子も死ぬ。ここまででいい。オレは歩いて病院に行きます」  オレは教授に車を止めさせた。  しがみついている女の子の頭を撫でた。  「   」  女の子の名前を呼んだ。  「良い名前だね、また会おう」  女の子はまた大きな目から涙を流し続けた。  オレは車のドアを開けた。  「オレが降りたらさっさと車を出して下さい、教授」  教授はため息をついた。  「分かった。君は本当に・・・強い。正直惚れてしまいそうだよ」  オレは笑った。  こんな時に冗談言うのは教授らしい。  「おじさんは嫌です。オレはそこの   にも結婚申し込まれてますからね。教授よりはこの子がいいです」  オレの言葉に教授は複雑な顔をした。  「一つだけ。そのボーガンは持って行って下さい。もし、町の人間に攻撃されたら迷わず撃って。オレを撃ったのはずっとオレを可愛がってくれた近所のお兄さんでした。町は迷わず殺しに来ます。だから、迷わず撃って。それが人間でも化け物でも」  オレは最後の忠告をした。  オレも死にかけてるが、教授達も大して変わりはないのだ。  オレは腹を押さえながらドアから降りた。   教授はオレに言われた通り、そのまま車を発車させた。  オレは歩く。   病院まで歩いてやる。  ここまできたら死んでたまるか。  絶対に結末を見てやる。  町の、花嫁の、あの人のあの子の。  そうすれば、オレは先に進める。  絶対に死なない。  オレは果てしなく遠くにあるように思える病院へと一歩一歩、歩いて行った。

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