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第58話

 僕の中を蠢いていた触手が一度抜けていく。  僕はしゃくりあげながら、それにホッとする。  だけどそれは、固いものが穴に押し当てられるまでだった。  絡まり合い、硬さを増した触手が僕の穴をなぞるように動き、押し付けるような動きを繰り返す。  僕はその大きさにおののいた。  指しか入れたことのない僕のそこに、それは入ろうとしているのだ。   「嫌、やめて」  僕は怯えた。  粘液により感度を上げられていても、それには恐怖があった。   「そんなのはいらな、い」  僕は息をとめた。  それはゆっくり押し入ってきた。  「痛、い」  僕は呻く。  みちみちと音をたててそれは容赦なく入ってくる。  まるで引き裂かれるような感覚に僕は悲鳴をあげた。  唇をかみしめる。  にじむ血を触手がそれさえ吸収する。   深く深く、僕の中にそれは侵入して行く。

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