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第61話

 俺はそのミイラ、【神】の身体からもやのようなモノが立ち上がるのを見ていた。  そのモヤは集まり、実在の半分ほどの大きさの【神】になった。  ただし、土色の朽ちたミイラではなく、おそらくソレが以前そうであっただろう姿に。   金色の肌は煌めき、赤い髪は燃えるよう。  白い着物は輝くよう。  ソレはミイラ化した本体から離れ滑るように動きだした。  アイツのところへ行くのはコレか!!   俺は悟った。   行かせない、俺は引き止めようと蹴りを繰り出した。  虚しく、その身体はホログラムのように脚が通り抜けた。  ソレは滝をなんなくくぐり抜け、宙に浮き、洞窟の天井に開いた穴から地上へと上がっていった。   時間がない。  時間がない。  俺はもう迷わなかった。

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