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第66話

 俺の腕は、【神】の身体の上に落ちた。  肘から下を斬り落としたのだ。  血がそのしなびた身体に広がる。  俺は苦痛のため呻きながら、ベルトを外し血の吹き出すところより上を縛る。  死ぬわけにはいかない。  アイツを抱くまでは。  死んでたまるか。  俺の目の前で、【神】の身体の色が変わっていく。  コイツは喰らった。  犬達の死も、死ぬ前の苦痛も、恐怖も。  男の死も、苦痛も恐怖も。  そして、今俺の苦痛と恐怖と、俺の祈りをだ。  ピクッ  ミイラのような腕が動いた。  そして、身体の上にある俺の腕を掴んだ。  血の吹き出す腕はその腕にもちあげられた。  ボタッボタッ  その血は仮面のような顔の上に滴る。  渇いた顔の皮膚が、金色に色を変えていく。    キシャア!!  【神】の口が開き、【神】は叫んだ。  その口に血が流し込まれ、  続いて、俺の腕がそのデカい口にかじられて、飲み込まれていく。  まるでお菓子のように。  俺は俺の腕が食われるのを呆けたように見ていた。  ソレは輝くような光を放ち初めていた。    皮膚は滑らかで、美しい金色の光を放ち初めていた。  【神】はその美しい腕を伸ばし、自分の胸に突き刺さった杭を握り締めた。      キシャアキシャア!!  【神】は叫びながら、それをゆっくりと抜き始めた。    もう、俺はこの先どうなるのか全く見当がつかなかった。     

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