必死で地上へ這い出た俺が見たものは、洞窟を突き破るまでにデカくなった【神】だった。 　 　ギャアアアア 　【神】は吠えた。 　地面から生えるように突き出た、巨大な顔が、月に向かって吠えていた。 　宙に地に、木々に化け物があふれていた。 　俺の近くにもいるが、奴らは【神】を見るのに夢中で俺を気にする様子もない、 　沢山の色とりどりの化け物達が、【神】の声に唱和するように叫び、吠え、鳴く。 　【神】はまた、膨らんだ。 　「まだデカくなるのか」 　俺はゾッとした。 　山が揺れた。 　【神】が破壊しながら洞窟から出てこようとしているからだ。 　岩を砕き、それは這い出てこようとしていた。 　山がまた揺れ動く。 　 　どうなるんだ。 　どうなるんだ。 　お堂に行かねば。 　アイツを助けなければ。 　俺が後ずさり走ろうとした時だった。 　 　ギシャアアアアアア 　 　【神】が突然叫んだ。 　苦しみ、のたうちまわりはじめた。 　【神】は大きく膨らみ、どんどん空へ向かって伸びていき、 　突然、爆ぜた。 　爆ぜたその身体は土に変わり山に降り注ぎ、 　 　土砂崩れを引き起こした。 　 　俺の目の前に土砂がせまってきていた。