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第77話

 「雨が降って来たわ、兄様」  妹が僕のベッドに座る。  「明日までには晴れるよ」  僕は腕を伸ばし、妹の髪を撫でる。   今日は  さんが来てくれているのだそう。  本当は僕がお茶をだしたり、晩御飯の準備をしなきゃいけないけど、身体が動かない。   無理をすれば動かないこともないのだけど、教授(お父様と呼んでもいいと言われたけど、僕は遠慮させてもらった)が「無理するな」と言ってくれたので甘えさせてもらおう。   「怒るのやめた?」   妹がたずねた。   「ううん。まだ怒っている。でも、お前にじゃないよ」  僕は微笑む。  「知ってるわ。あの人にでしょ?でも雨が降ってきたから、あの人濡れちゃう」  妹は言った。  妹はあの人がそんなに好きではない。  僕を独占しようとするからだと、妹はいう。  多分、あの人も妹はそれほど好きではない。  僕がとても妹を愛しているからだ。  でも、嫌いではないらしく、妹はあの人の心配をした。  「まだいるの?」   僕は驚く。  二度と会わないと怒鳴ってから、もう8時間はたつ。  「ずっとウロウロしているわ、変なの」   妹は正直な感想を述べた。

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