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第1話:プロローグ

貴方は聞いた事あるだろうか。 シェークスピアの有名なオペラ“真夏の夜の夢”を。若い男女の恋を描き、精霊の王であるオベロンが魅せる世界観。 耳を抜けていく、声音は爽快感を与える。 私は、あの声が好きだ…。 広がる世界は草原を描写させる程、感動的な場面だったり、笑ったりと人間特有の豊かな感情に酷似している。 例えるなら、感受性が溢れている吟詩の様で物語を紡ぎながら、語り継がせる者達。 口から発つ科白は強弱を付け、手足で大きく表現する姿はまるで、自分自身が一つの作品。 故に美学の嗜みだと言える。美味しいお酒なら、何度でも頂きたくなる甘さを含んだ甘酒。 柔らかなあたりが、曲のプレリュ-ド…。 つい、指でリズムを取りたく自然と動いてしまう。 軽やかな曲調が耳に流れてきて、身体がリズムに乗り始め、口からメロディーが漏れる。 僕は、窓から入ってくる微風に髪を靡かせながらオペラの骨頂とも言える光景を浮かべていた。 幼き頃から映像が流れてくる体質らしく、どうやら家系の遺伝らしい。 しかも、隔世遺伝ときたら納得しざ得るおえない。 こんな風に寛いで風に当たっている時は大抵、流れてきてしまう。 オベロンの妻は確か…。 サイドテーブルに置かれてある読みかけの本にちらりと、視線を落とす。 「ー…ティターニャ」 この方は凄く美しいと聞いている。 夫であるオベロンの嫉妬により、どうにか屈指しようと考えている頃、夜の精霊に飲まされた“惚れ薬”により人間に恋をしたというのが印象的な人物だ。 花の露を使い、惚れさせるとは考えたものだと感心した。最初に見た相手に惚れてしまう。 まるで、家鴨の子が最初に見たモノを親として見なすみたいな状況。

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