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再会3
「欲しい・・・」
彼は呻いて男のモノを手で扱いた。
男に教えられたやり方で。
男は積極的な彼に驚いている。
男の知っている彼は、恥ずかしそうに男の言われるがまま抱かれてた。
誘うことさえ出来ないくらい純情で。
そこを意地悪して楽しんだものだった。
なのに今彼も貪るように男に触れてくる。
彼は長いこと我慢していた〈それ〉に飢えていたのだ。
これを奥に挿れて欲しかった。
この大きいので、一番奥をこじ開けて、そこで放つのを感じたかった。
「挿れて・・・」
扱きながら、男の耳もとで囁く。
それはいやらしい声で、男の喉が鳴るのがわかった。
「・・・誰がそんな風に君を・・・」
男が苦しげにいった。
欲情していた。
でも苦しんでいた。
何に?
彼にはわからない。
ただこれが欲しかった。
「一度抜かせて・・・君を解してあげなきゃ駄目だから。・・・ねぇ、少しだけ酷くしてもいい?」
男は囁く。
懐かしい言葉に彼の身体は震えた。
「噛んだり、跡はつけないで・・・それ以外なら、好きにしていいよ・・・」
彼は囁いた。
ジムに行くのに跡をつけられるわけにはいかなかった。
「・・・跡つくと、困るのか・・・誰に見られたら困るんだ・・・」
泣きそうな顔で男は言った。
返答に困った。
黙っていると男はため息をついた。
「いいよ・・・跡つけない。でも、好きにさせてね、今だけは」
男は彼の顔を自分のソコへ強引に近付けた。
彼は大人しくされるがままになる。
「咥えて」
優しく男が言い、彼は愛しい欲しくてたまらないそれをその口の中に咥えた。
「・・・ずっと、こうしたかった」
男は呻いて、彼の頭を押さえつけ、その喉を犯しはじめた。
手酷く腰をぶつけられる。
苦しい。
苦しい。
でも、その必死さが愛しかった。
こうされたかった。
ずっとずっと。
そして、喉に放たれるそれを飲み干すことも嬉しかった。
「舐めて」
放たれた後も残りを絞り出すように唇で扱くことを求められ、彼はえづきながら、でも丹念にそこを舐め、吸った。
そして、男の顔を見上げて言った。
「酷い味」
男はくしゃくしゃになって笑った。
男は服を脱ぎ捨てながら、冷蔵庫の中からミネラルウォーターを持ってきた。
彼に渡す。
「飲んで・・・」
懐かしいやりとりだった。
服を脱がされた。
すっかり変わった身体に、男が萎えるかと思ったけど、男は愛しげに身体中にキスするだけだった。
「君は今も・・・綺麗だ」
囁かれた。
嘘つき。
彼は思う。
この男の言うことは嘘ばかりだ。
でも、身体は喜んで、そんな言葉に感じた。
そんな自分を彼は浅ましく思った。
「脚を広げて、僕に見せて」
男は囁く。
羞恥で白い身体を赤くしながら、それでも彼は脚を広げた。
欲しかったから。
またやんわりと立ち上がっているソコと、期待にひきつくそこを男の目の前に晒す。
「濡らすね」
囁かれた。
そこを舐められた。
穴の襞を押し広げるように舐められた。
やはり、これには慣れない。
男と暮らししていた時も、コレは苦手だった。
恥ずかしすぎる。
逃げようとする腰をおさえつけられる。
「・・・まだ、ダメなの?気持ち良いくせに・・・それともあまりしてもらわなかったの?」
男が囁く。
首を振る。
自分の指以外がそこをいじることなどなかったのだ。
慣れるわけがない。
「・・・そう。されてなかったのか。じゃあこうすることはまだ、僕だけだ」
男は満足にいって、音を立てて舐める。
気持ち良さと恥ずかしさで、彼は悶える。
「気持ちいいでしょ」
申告するように求められる。
「いい、あっ・・・気持ちいい・・・やだ、止めて・・・気持ちいい、あっ嫌・・・」
拒否と歓喜を繰り返す。
ぐちゃぐちゃに、彼は泣き始めた。
舌まで押し込まれ、彼はしゃくり泣く。
「すごい感じてる・・・誰に仕込まれたの」
その声は怖い。
男の指を想像し、毎夜自分でしていただけだ。
でも、そんなこと言えない。
指で丁寧に解される。
「キツイ・・・最近してないの?」
男が嬉しそうに言う。
彼は頷く。
最近どころか、男と離れてからは誰ともしていないのだけど。
「今は誰もいないんだね」
男が聞く。
嘘は許さないとでも言うように、彼の弱いところをこすりながら。
返事など出来ない。
苦しい位に快感が続いているから。
「はぁっ」
声さえ出ないで、彼は出さずにイった。
「いないんだね」
優しく、でも、違う返事は許さないような声で男はまた聞く。
そんな風にこすられたら、中でそんな風に指を動かされたら・・・。
「いないッ!!ああ!!」
彼は叫んだ。
男以外いない。
誰にも触らせたことはない。
それは言わなかったけれど。
また意識が飛びそうになった。
男は微笑んだ。
本当に嬉しそうに微笑んだ。
「今は、今だけは僕だけの君でいて」
甘く囁かれた。
そんな言葉が切なかった。
うれしいとどこかで思ってしまう自分が。
彼は何も言わず男にすがりついた。
今はただ欲望だけで良かった。
これはいつもの妄想の延長線にあるものなのだと信じた。
「挿れて」
そう男の耳元で淫らに言った。
男は彼を抱きしめた。
まるで耐えるように。
後ろからしてほしいと頼んだのは彼だった。
「・・・後ろ苦手だったでしょ」
男は不思議そうに言った。
気持ちいいけれど、顔が見えない、すがりつけない後背位は彼は怖くて苦手で、男にされると顔が見える方がいいから止めてと、よく泣いた。
「今は後ろからされるのが好きだから」
彼は強がった。
顔が見える体位ですると、すがりつけてしまうと、自分が何を言ってしまうのかが、怖かったのだ。
「そう・・・後ろが良いの教えられたんだ」
男は低く呟いた。
乱暴に身体をひっくり返された気がする。
その指が震えていたような気も。
でも優しく囁かれた。
「君の好きなようにしてあげる」
熱いものがそこに押し当てられた。
背中にキスを落とされ、それはゆっくりと入ってきた。
「ああっ」
彼は喘いだ。
久しぶりのソレはやはり大きくて、圧迫感がすごかった。
何年も、指以外入れていない彼の穴には、異物感があった。
でもゆっくり身体の中に沈められて行くうちに、期待で身体がおかしくなりそうになっていく。
身体はこの先を知っているからだ。
落ち着くまで、優しく男は身体を撫でていてくれた。
それだけでも、リラックスする。
「どうして欲しい?」
男は入り口付近の、彼の弱いところをゆるゆるとそれで擦る。
背中が反り、声がこぼれる。
「この好きなところを擦られたい?」
今度は強く擦られる。
「あっ!!」
頭がまっ白になる。
軽くイった。
「それとも、もう少し奥からここまでこすりあげられたい?・・・こうしたらいつも出しちゃうよね」
男の声は優しいでも、容赦なく中で動かれる。
そり返った彼のモノがダラダラと汁を零す。
「いいっ!!出ちゃう!!出ちゃう!!」
彼は喚いた。
でも、出す前に止められる。
彼はもどかしさにすすり泣く。
もう彼は身体をささえてられない。
すがりつけないから、必死でシーツを震える指で握りしめる。
不安で怖い。
だから、後ろからするのは嫌いだ。
「どうしてほしいの?言って?」
ゆるく動きながら、優しく意地悪に男が言う。
緩やかさが、熱だけをためる。
辛い。
もっと、もっとちゃんと欲しい。
「奥・・・奥をこじ開けてグリグリして・・・ぐちゃぐちゃにして、出して!!」
辛すぎて彼はずっと願っていたことを叫んだ。
指などでは届かないソコで男を感じたかった。
ずっとずっと、それを切望していたのだと知った。
奥にあるソコをこじあけられたい。
グポグポとそこを犯されたい。
そこで熱い男のモノを感じたい。
夢にまで見た行為だった。
「あなたの大きいので・・・グリグリして・・・欲しい・・・あなたが欲しい・・・」
彼は自分が何を口走っていたのかもわからなくなっていた。
「あのね・・・本当にたちが悪いよ君。・・・やり殺してしまいたくなるでしょう」
男はため息をついた。
男の身体が震えているのが伝わる。
耐えるように。
ズン。
奥を突かれた。
衝撃に彼は悲鳴のような嬌声をあげた。
久しぶりの感触は、快感よりも熱さのようだった。
ごりごりと奥をこじ開けられていく。
グプグプとそこで出し入れされた。
男は先が吸い付けられるような感触に呻く。
彼は鮮烈すぎる快感に、声さえ出ず、もうピクピクと身体を痙攣させるだけだった。
「君の中、すごい」
そう囁く声ももう届かない。
ただ、怖くて泣き始める。
気持ちのよすぎて怖いのだ。
すがりつきたい。
キスして欲しい。
後ろから犯されていてはそれは無理だった。
抱きしめる身体が欲しくて、泣き続ける。
手がすがりつけるものを探し、さ迷う。
「・・・後ろ、苦手じゃないやっぱり」
男はため息をついた。
彼の顔を後ろに向かせ、キスしてやる。
「怖い・・・怖い・・・」
彼はキスの終わりに叫んだ。
男は髪を愛しげになでる。
「・・・よすぎて怖いんでしょ。可愛い。でも、もう少しだけ我慢して。止まれないから」
男は彼の奥を犯し続けた。
声さえ出さずに、彼は何度となく意識をとばした。
シーツに顔をすりつけ泣き続ける。
そして、一番奥で放たれて・・・。
「死んじゃう!」
彼は恐怖に叫んだ。
怖い位に良かったのだ。
彼も射精した。
脳が焼ける。
中でも、前でもイっていた。
でも、泣きじゃくる身体を抱きしめられたのが一番嬉しかった。
安心した。
抜かれ、向かいあって抱きしめられた。
「怖かったんでしょ・・・後ろが好きなんて嘘ついて」
背中を撫でられた。
胸に顔をうずめ、擦り付けた。
安心した。
ここが一番安心できると思った。
そんなわけはないのに。
「次は顔を見ながら、ね」
優しく言われたら逆らえなかった。
甘く口付けられながら、溶かされていく。
向かいあいながら、脚を担がれ挿れられた。
その目で見られるのが辛い。
そんなに優しい目で見ないで。
愛されているのかと思うから。
「ずっとこうしたかった」
優しく囁かないで。
本当かと思ってしまうから。
でも、どんなに良いところを擦りたてられても、深く奥を犯されても、甘く優しく口づけられても。
「言って・・・お願い、言って・・・」
どんなに泣かされても、男が望む言葉を彼は口にしなかった。
溶けて男の望むままに乱れはしても。
今度は泣いていたのは男だった。
傷ついたような顔をしていた。
言わせようと、必死で彼を追い込み泣かす。
立て続けにイカされ、身体が痙攣し、涎をたらし、淫らな言葉をどんなに言わされても。
彼は絶対にその言葉を口にすることと、身体に跡をつけることを許すことはなかった。
「愛してる」
男の言葉だけが虚しく響いた。
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