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第15話 親友
親友の良太から告白された。
本当に突然に。
それは、昨日の放課後のことだった。
良太と二人でカラオケに行った帰り、近道に公園を歩いているときだった。
突然、良太が真剣な顔をしたかと思うと、言った。
「友一、オレ、おまえが好きだ」
「えっ……?」
「もうずっと前から、おまえのこと好きだったんだ」
それが、友だちとしての好き、ではなく、はっきりと恋愛感情を意味するものだということは、彼の瞳が如実に語っていた。
友一はあまりにも突然すぎる告白に、フリーズ状態になってしまい、良太は、
「返事はいつまでも待つから」
そんな言葉を残し、足早に去って行ってしまった。
まさに寝耳に水、晴天の霹靂という感じだった。
良太は女の子にモテる。爽やかなイケメンだし、おもしろいし。
なのに、なぜ男に、しかも親友の自分に恋などするのか……。
……担任の男性教師と恋人関係にある友一が言うのも、おかしい気はするが。
そして、今日。
良太は朝から、気まずくならないように、普段通りを装おうとしてくれていた。
しかし、彼の全身から緊張感がピシピシと伝わってくる。
今日ばかりは大好きな先生の授業も頭に入って来ない。
斜め後ろの席にいる良太の視線をすごく感じてしまって、数学の公式が素通りしてしまう。
良太の気持ちには勿論応えられないから、断るしかないんだけど、どう言って断ろう。
良太はいい奴で、大切な親友だから、あまり傷つけたくない。
「……井、鳥井!」
いきなり剣上に呼ばれて、友一はびっくりした。
「は、はいっ」
「なに、ボーッとしてるんだ。問題の2を解いてみろ」
「え? 2? えーと……」
ヤバイ。教科書を開いてもいなかった。
剣上が形のいい眉をひそめている。
「もういい。鳥井、次のページから二ページ、おまえへの宿題な。明日までにやって提出しろ!」
……あーあ。先生に怒られちゃったよ……。
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