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第16話 親友②
帰りのホームルームが終わったあと、友一は剣上に呼ばれた。
見るからに不機嫌そうな剣上の傍に、おずおずと近づくと、彼が小声で言った。
「オレのマンションで待ってろ」
「うん……」
やっぱりなんか訝しく思ってるな、先生。
だって、今日は木曜日、明日が祝日というわけでもない。
普段、友一と剣上がデートをするのは、次の日が休みの日がほとんどだ。
平日は電話かメールのやり取りくらいしかできない。
本当は毎日だって会いたいけれども、教師と生徒という関係上それはなかなか難しい。
帰り道、緊張感を体全体に漂わせながらも、なんとか友一を笑わそうと冗談を飛ばしてくる良太と途中で別れ、友一は剣上のマンションへ行き、合鍵で中に入った。
良太に告られたこと、話さなきゃいけないかな。
自分だったらどうだろう? 先生が過去に付き合った女性たちについては、今更聞きたくはない。でも、もし今、先生が誰かに告白されたとして、それを秘密にされたら……。
うん。やっぱりムカつくな。知っても腹立つかもしれないけど、秘密にされるほうが嫌だ。
やっぱり話さなきゃ……。良太、ごめんな。
ツラツラとそんなことを考えていると、鍵を開ける音がした。
「先生、おかえりなさいー」
玄関まで迎えに行くと、剣上が不機嫌なオーラを放ちながら部屋へ入ってきた。
「ただいま、友」
それでも、唇にチュッとキスをくれたので、友一の気持ちは少し浮上した。
「疲れたでしょ、先生。なにか飲む? ビールでいい? 取ってきてあげるよ」
友一がそう言い、キッチンへ向かおうとしたとき、大きな手が友一の手首をつかんだ。
そのまま壁に押し付けられ、いわゆる壁ドンをされてしまった。
「なにがあった? 友」
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