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第17話 不機嫌な恋人
剣上は射るような目で友一を見ていた。
切れ長の綺麗な瞳は、なにもかもを見透かしているようにさえ思える。
なんにせよ、剣上にこんなふうに問い詰められ、友一が黙っていられるはずがない。
「……親友の良太に告白された。ずっと好きだったって」
友一がそう言った途端、剣上の不機嫌のオーラが大きくなった気がした。
「……良太って、おまえといつもつるんでる村上 良太か?」
「うん、そう」
「……それで、勿論、断るんだろうな」
「うん。勿論。でも良太のこと傷つけたくないし、なんて言って断ろうかなって……」
「オレが断ってやってもいいんだぞ」
剣上の鋭い瞳がキラリと攻撃的に光った。
「ちょっと、先生、怖いよ……。オレ、ちゃんと自分で断るから。……でね、先生」
「なんだ?」
不機嫌もあらわな声。
「良太とは、親友はもう無理でも、いい友達でいたいんだけど……」
瞬間、剣上はすごい目で友一を睨んだ。だが、そこは大人である。すぐにあきらめたような表情になると、言った。
「友の性格から言っても、村上と完全に絶交するのは無理だろうからな。……それくらいは認めてやるよ」
「ありがとう、先生」
ホッと胸を撫で下ろす友一だったが、剣上の言葉にはまだ続きがあった。
「でも、もし村上がおまえに変なちょっかい出したら、オレはあいつを……殺すよ?」
サラッと吐き出された言葉だったが、友一は血の気が引くのが自分でも分かった。
先生は本気で言っている。……それが友一には分かるから。
「せんせ……んっ……」
友一の次の言葉は、息も止まるような激しいディープキスで塞がれてしまった。
舌を絡められ、口内を貪られて……。大人の男のテクニックに友一はついていけなくて、その場に崩れ落ちてしまいそうなるのを、剣上の腕が支える。
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