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第22話 親友への返事②
友一は同性の剣上を愛しているが、それは剣上だからであって、自分はゲイではない……と思う。
きっぱりと言い切れないのは、友一が十七年間生きてきて本気で好きになったのは、剣上が初めてで唯一人だからだ。
悩んだ挙句、友一は言った。
「良太が男だからとか、そういうんじゃなくって、オレはおまえのこと親友以上に見ることはできないんだよ」
「……これから先も、オレには希望はないのか? 友一」
尚も食い下がってくる良太に、友一は今度はきっぱりとうなずいた。
「うん……。ごめん」
オレはこれからも剣上先生だけを愛し続けるから。
二人のあいだを気まずい沈黙が漂う。
その沈黙を破ったのは、良太のほうだった。
彼はどこか思い詰めたような瞳で、聞いてきた。
「友一、おまえ誰か付き合ってるやついるのか?」
「えっ……?」
不意打ちの質問に、友一はとぼけることができなかった。
「やっぱり、そうか。おまえ土日、いつも予定入ってるもんな。前からおかしいとは思ってたんだ。……相手、誰だよ? この学校の女子?」
さすがにそこまで聞いてくるのは、良太が友一の領域に踏み込み過ぎだろう。
「……そんなこと良太には関係ないだろ」
ややきつめの口調で言うと、
「だってオレ、やっぱりおまえのこと、あきらめられない。友一、いつかきっとおまえのこと、振り向かせてみせるから……!」
彼は拳を強く握りしめて、そんな言葉を返してきた。
「そんなこと言われても困るよ……。オレは絶対に良太のこと、そう言う目では見れないよ」
そう、良太だけではない。誰が言い寄ってきたって、友一が相手にすることは決してない。
友一は剣上だけを愛しているのだから。
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