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第23話 恋人の登場
「……それでもオレは友一が好きだから、あきらめきれない」
「良太……」
そうだ……、良太は思い込んだら一途ってところがあるんだっけ。
そういう性格は、彼の長所だと思っていた友一だったが、今のような状況ではなによりも厄介である。
いったいどう言えば、良太は自分のことをあきらめてくれるだろうか、と友一は頭を抱える思いだった。
そのとき教室の扉が勢いよく開けられ、冷たい声が二人のあいだに割って入った。
「無駄なあがきはやめとけ、村上」
「先生……」
友一は驚き、
「剣上?」
良太はいきなりの担任教師の登場に、眉をひそめている。
「鳥井はおまえの気持ちには応えられないって、さっきから言ってるだろ」
「ちょー、なんだよ、剣上。なんでここで出てくるんだよ? あんたには関係ないことだろ? これはオレと友一の――」
「関係あるんだよ」
剣上が良太の言葉を遮る。
「ち、ちょっと、先生っ……」
友一は剣上をとめようとしたが、見事に無視されてしまう。
「どういうことだよ? どうあんたと関係あるってんだよ? 剣上」
「鳥井はオレと付き合ってるからだ」
「……は?」
良太が頓狂な声を上げる。
……ああ、先生、とうとう言っちゃったよ。
友一は天を仰いだ。
良太は剣上が口にした言葉の意味が、すぐには理解できなかったらしく……いや、理解することを頭が拒否したと言ったほうが正しいかもしれないが……茫然と剣上を見ている。
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