24 / 28
第24話 恋人の登場②
「友一はオレのものだからな。おまえにも、他の誰にも渡す気はないんでね」
剣上はそう言うと、友一の傍まで歩いてきて、肩を抱き寄せる。
友一と剣上が寄り添っているのを見て、良太はようやく剣上の言葉の意味を理解したようだ。
だが、それでもまだ半信半疑と言った感じで、友一に聞いてきた。
「友一、嘘だろ? おまえが剣上と、なんて」
良太の瞳には、『否定して欲しい』という切実な気持ちが現れていたが、勿論、友一も本当のことを言うまでだ。
「……本当だよ。オレと剣上先生は一年生の頃から付き合ってる」
「…………!」
絶句する良太に、友一は更に言葉を重ねる。
「オレは先生のこと真剣に愛してるし、先生もオレのこと真剣に愛してくれてる」
剣上が友一の肩を抱く手に力を込めてくれるのが分かった。
「……嘘だ……、そんなの、嘘だ……」
良太は弱々しくそう繰り返したあと、憎悪の籠った目を剣上へ向け、叫んだ。
「最低だな、剣上、あんた。自分の生徒に手を出すなんて……! なにが学校一のイケメン教師だよ!! とんだ淫行教師――」
「やめろっ!!」
友一は鋭い声で、良太の罵声を遮った。
「先生を悪く言うのは、許さない……! たとえ良太でも」
いつも穏やかな友一の激昂に、良太は少し臆したような表情を見せた。
ともだちにシェアしよう!