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第27話 本当の恋③
友一の話を聞いて、良太はかなり狼狽えていた。
「嘘だろう? おまえがいじめを受けてたなんて。誰にだよ?」
「……そこまで言う必要はないと思うけど。とにかくオレは先生に救われて、それからあっという間に恋に落ちて、先生が好きでたまらなくて……誘惑したんだ」
「友、もうそれくらいにしておけ」
剣上が友一の肩を優しく撫でる。
「うん」
彼に微笑みで応えてから、友一は良太のほうを見た。
「良太、オレ、すごく寂しいよ。良太のこと、とても大切な親友だって思ってたのに、こんなふうになっちゃって……」
「…………」
良太はもうなにも言わず、最後に剣上をものすごい目で睨んでから、教室を出て行った。
「友、大丈夫か?」
「ん。平気。良太っていう親友を失くしちゃったのは辛いけど、しかたないよ」
二人きりになった教室で剣上と友一は寄り添ったままでいた。
「……なんか妬けるよ、オレは」
剣上が友一の肩を抱いたまま、ぽつんと呟く。
「え?」
きょとんとする友一。
「友が村上のこと、とても大切に思ってるからさ」
「親友として、だよ」
「それでもだよ」
剣上の呟きに、友一はくすぐったそうに笑う。
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