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 食堂は横尾らのクラスが早かったのか、それとも遅くて、みんないったん寮に戻っていたのか、どんどん混んでいった。  人が多い分、騒がしい。横尾は残りのご飯をかきこんだ。別にくる予定はなかったけど昼休みが毎日こんな感じなら学食で食べるのは考え物だ。  その時、騒がしい声がさらに大きくなった。そのざわめきは入り口からして移動している。 「なんだ?」 「生徒会じゃない? なんかここの生徒会ってすごい人気があるらしいよ」 新見は食べ終わったらしく水をストローで飲んでいた。15歳男子が水をストローで飲むのはおかしいはずなのにおかしくない。 「くわしいな」  東も外部組で今の状況はよくわかっていないようだ。 「同じ寮生の人に聞いたから。ほら向こうが生徒会とほか人気の生徒たちの席」  新見が指した端の席はここのテーブルより少し大きめの物になっている。いすもモダンなデザインだった。 「もともとは先生達の席だったんだって。今は先生たち職員室に出前とるから、使われなくなってそうなったらしいよ。ここの学校はそういう人気生徒たちの場所がいくつもあるからそういう場所にはあんまり近づかないほうがいいって聞いた。ファンクラブとか親衛隊とかあってめんどくさいんだって」 「すごいな」 東はいっそ関心した。 「人気生徒ってなに基準だよ」 横尾はそこに座る人たちを盗み見る。そこに座った生徒たちはえらくきれいだった。見た目か。 「家柄とか顔がいい人だって。まぁでもなんかオーラある人には近づかないほうが吉だって」 「ざっくりしすぎだろう」 東もそうだよねと笑い。新見も苦笑いをする。新見の同室の人間はどうも適当な人間らしい。 「今、来たのはみんな生徒会っぽいな」 東はさっきの席に座る男達をみている。 「よく知ってるな? お前も同室の奴に聞いたの?」 「俺、特貸生だから一人部屋。生徒会は入学式で前に出てたじゃん」 「寝てたわ」 「そういうタイプっぽい」  横尾はよく見るが全員、見覚えはなかった。追いかけてきた人は奴は生徒会ではないらしい。めんどくさい立場に居なければいいけど、思い人はたいへんかっこいい。名家とかいい家柄じゃないけど金持ちでもある。 「他に人気な生徒とか知らないの」  もしかしたら有名な人物なのかもしれない。そしたらめんどくさい。 「僕もちょっと聞いただけから……。風紀委員とかスポーツ特待の人とかも人気っていってたかな?」 自分の思い人はどちらもあてはまらないだろう。 「まぁ関わる機会もないだろう。そろそろ戻るか」  東はそう言って手を合わせた。それをみて新見と横尾も真似するように手を合わせた。  これからの学園生活が円滑にいけばいいとはおもう反面、おもしろくなってほしいというのも反面。  横尾はひとつあくびをこぼした。

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