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全部見終わって横尾は依田に本を返す。依田は、はっとした顔をした。
「いた?」
「いた」
依田はしまったという顔をした。
「見逃したわー!」
反応見て特定しようと思ってたのに!と依田は悔しがった。
みんなが生徒会の話で盛り上がっていたので、横尾は自分のリアクションを見られずにすんだ横尾は逆に依田をほくそ笑んだ。
「じゃあ、イケメンなんだな。本当に」
口を尖らせながらも依田はそう言った。
「疑ってたのかよ」
「あばたもえくぼとか、恋は盲目とかいう言葉もあることだし」
依田は人をイラつかせる用ですと言うような笑い方をした。
「えっ!」
突然、新見がさけぶ。
「追いかけてきた人って好きな人?」
「まあ、そだね。引いた?」
それも別に横尾は隠していたつもりではない。しかし、この学校では多いと聞いていたが、仲のよい、というか新見に知られるのはなんとなくはばかられた。
「引いてないよ。追いかけてまで好きなんてきっといいことだよ」
必死に否定してしかも満面の笑顔で新見が言うものだから横尾は珍しく照れた。
「俺、そいつのこと好きだけど、美浪と一緒にいたら思いかわるかも」
「えっ」
「冗談……、だったらいいのにな」
「反応に困るんだけど」
新見は照れたように困る。これが天然なんて犯罪だ。
「美浪がかわいいってことは、かわいい感じ?」
東が横からはいってきた。手には横尾が置いたイケメン図鑑を持っている。東が持っているとなんだかおもしろい。
「いや、かわいくはないんじゃないかな。俺より背高いし」
「えっ、ガチだな」
「うん。引いた?」
「正直、他人の恋愛事にはあまり興味ないかな?」
東の言い方はひどいけど、それは東なりの気の遣い方だった。それを横尾も知っているので、ひどいと言いながら笑った。
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