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おでかけ 1
高校生活は思いもよらず横尾にとって楽しい生活だった。中学のときは、美藤の世話を焼きすぎて自分の友達とはおざなりだったのが、今は幸い友人に恵まれている。
横尾は美藤にもばったりと会うということもなく快適な生活を送っていた。
「なんか、ネタ、ネタが……」
依田がうわごとのようにそう言うのにもみんな慣れてしまってスルーしていた。
昼食を食べ終わって、机を囲んでだらだらと過ごす。
「なんかでも、みんなで楽しいことしたいねー。どっか遊びに行ったりとか」
新見は紅茶を飲みながらそう提案した。
「ここらへん、どっか遊べるところとかあんの?」
「テーマパークみたいなのはないかな? 地元の高校生とかはたぶん繁華街に行くんだと思う」
「買い物だけなら、朝市で事足りるしな……。というか、高校生って何して遊ぶんだろうな?」
「ボーリングとか、カラオケ?」
「カラオケっていったことねーわ」
新見は地元が近くなので近所の紹介をしてくれてるけど、学校を出てまで行きたいなと思えるところはなかった。
「なんかここいると引きこもっちゃうよね」
「出る必要性を感じないしな」
新見はこの周辺が地元で休みには帰ることもあるが、ほか三人は高校に入学以来、外に出ていない。
「東は、出身どこだっけ?」
「俺は、出身は遠いんだけど、中学の時はここらへんだったね。新見とはちがう地域だけど。俺もカラオケいったことないな」
「えぇー。中学で遊びに行くと言えば、カラオケだったけど」
いつもの通り三人で雑談でもりあがっているところに依田がうめき声をあげる。
「お前ら、無視するなよー」
「もう、お前のネタない発言はききあきたわ」
「そんなに、毎週ネタがいるものなの?」
新見は小首を傾げて聞いた。
「一人、大小かかわらず週4個、必要だよね。どんなんでもいいけど」
依田は指で4をつくってうざいくらいに主張する。
「ゴシップは駄目だったよな」
「ゴシップだめとは言ってないよ。ただ、対象者を傷つける行き過ぎたものは駄目。対象者に許可をとる取材がメインってことで」
「じゃあ、逆に、部活でもなんでも誰かに取材とか、アンケートとかつくって、ネタつくればいいんじゃないか」
「むむむ。その手があったか」
依田は苦渋をあらわしました、という顔をしている。
「花壇の花が咲きましたとかでもいいなら、どんなことでもあるだろ」
「そうだ」
新見が、手をポンとたたいた。
「なんでもいいならさ、遊びに行こうよ。ここの周辺の遊びスポットとかの案内とか、いいネタになるんじゃないかな? それに、行ってみたいところとか、おすめスポットとかのアンケートもとれば、いっぱい記事できるよ」
「みなみちゃん、まじ天使」
依田が、新見に抱き付いた。
新見は困っているけど、笑っている。
「じゃあ、決まりだな。次の休みは、遊びに行こう。どこに行くかは、依田、アンケとるなりして、考えとけよ」
「おっけー」
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