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「みんなおしゃれだよね」
雑貨をうろうろしながらまわってメンズ館に行くことにした。通り道、レディースの服屋を男四人で通ることに新見と依田が若干気遅れしている。
「みなみ、今日かわいいじゃん。オシャレだと思うけど」
横尾の意見に東と依田が同意した。
「僕、今日出かけるって言ったら、デートだってさわいで、同室の人がコーディネートしてくれたんだ。ジーパンとかはじめてまくった。あとベルトは借り物」
新見は細かい皮を編んだようなベルトの余った部分をひらひらさえる。
「あぁー、なんかわかる。お母さんがスーパーで買ってきた服と、ユニロクの服とか着てそう」
うう、と新見はうめいた。どうやら、図星のようだ。
「さっき、横尾、美容師めざしてるっていってなかったっけ。服とかも好きならみなみの服、なんか見繕ってやたら?」
横尾と新見のやり取りをみていた東がそう言った。
「そうなの?」
新見はきらきらした顔を横尾に向けた。
「ああ。買うなら一緒に選んでやるよ」
「それなら、夏もの、ちょっと買おうかな。同室の人にいつもださいださい、言われてたんだよね」
新見は、わぁいと音がしているみたいに喜んでいる。
「ちょうどよかっじゃん」
東はかわいい子供を見るみたいに新見を見ていた。
横尾ばかりが新見をかわいがっているみたいに東は言うが、彼もそうとうである。
「あれ? ヨコって実家、老舗の旅館じゃなかったっけ? 継がないの?」
「よく知ってんな」
横尾が依田がをにらむけど、依田はダメージを受けてない。
「新聞部ですから」
「なんでドヤ顔だよ。そこはおこらないでーって怖がるのが依田だろ」
横尾が依田の首を腕で締めると、依田はぎぶぎぶとさけんだ。
「そこは、新聞部の誇りがあるから!、っというか、マジ、くるしい!!」
依田が本格的に苦しがったので横尾は手を話す。
「で、継がないの?」
依田はこりてないようだけど、横尾はため息をついて答えた。
「継がない。だから、俺、じじいとけんかして、こんな山の中の寮に逃げてきたんだよ」
「追いかけて来たって言ってたじゃん」
すぐに依田がつっこみをいれる。
こいつどんだけ俺の事情を知りたいんだよと横尾は思ったが、別に隠すことでもないので続けて答えた。
「とりあえず親にじじいの怒りが覚めるまで、家から離れろって言われて、寮でも一人暮らしでもよかったから、追ってきたの」
「逆に好都合だったってこと」
「まぁね」
「大変だな」
話を聞いていた東は少し心配そうに言った。
「別に。高校は行かせてもらってるし、親とは仲いいわけだし。家には帰れないけど。……俺のことはいいからそろそろ、みなみの服探しに行こうぜ」
四人は連れだって、あれやこれやと新見を着せ替え人形にしながら、店を見ていった。メンズものは少ないので、ショップ自体も少なく、すぐに全部見回れたので、服を決めるのにも時間はそうかからなかった。二セットの服を新見は買い上げた。
「なんか、かわいすぎたような。ヨコの営業トークすごいんんだけど」
「みなみ、顔がかわいいんだから変にかっこいい服着ても似合わないだろ。今日の東みたいな服着て見ろ」
「それはわかるけど」
新見は東を見て、悔しそうな顔をした。それを見て東は苦笑する。
「6割ぐらい俺の趣味だけど。まぁ、俺色に染まれ的な」
「ヨコが彼女二人いたっていうのがわかった気がする」
「そうか?」
「ヨコ、話しうまいし美容師にあうよ」
「ありがとな」
散々からかわれているのにほめてくれる新見はかわいいと、横尾は思ったが、真剣だったので、まじめに返した。
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