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 伸びた手は早急に横尾の来ていた服を脱がした。一番下に来ていたTシャツはまくり上げてそのまま手を拘束された。直に殴ってサウンドバックにでもしてボコられるかもしれないと、初めての病院送りも覚悟した横尾だが、ジーパンのベルトをはずされたときに、これはどうやら違うのかもしれないと思った。  ジーパンも簡単に脱がされて、トランクス一枚になる。意味ありげに美藤の手が太ももをすべった。横尾は彼女と別れたばかりだが、童貞は捨てさせて頂いた。なんとなくそういう雰囲気だというのは理解できた。それでも双方男で何もたのしくないし、これはする方もけっこうリスキーなのではないだろうか。こんなことなら、お気に入りのぱんつでもはいてくればよかったかなと、横尾はできるだけ意識を現実からそらした。殴られるだけだと思っていたから、腕の拘束を許したのは失敗だった。男に上に乗られてはもうどうしようもない。  パンツが脱がされる。半端なく恥ずかしい。下をみるけど、美藤はこちらを見ないので、目はあわない。太ももを指が上がっていった。  美藤は有名で不良でたいそう顔がいいのですごくもてた。女にももちろん、中学時代はまだ、どちらかというと中性的な雰囲気も持っていたので、男にも、なんて噂も聞いたことがある。真実かどうかは横尾は知らない。  太ももが触られるたびに、びくびくと身体が動く。緊張して身体がこわばっているからか、些細な刺激に敏感になっていた。幼馴染の男に拘束されて襲われるだなんて、なんて退廃的なんだろう。  横っ腹をがぶりと噛まれた。容赦がなくて痛い。そこは皮膚と筋肉がうすいから食い破られそうだ。その痛さに、こいつはまじで俺を犯す気なんだなと、横尾は強く感じた。そして抵抗する気はないことを自分で不思議に思った。  腹と腿を散々噛まれた後、美藤は陰茎に触れて扱き出す。じらされたそれはとっくに勃っていて、先から透明な液体をこぼしていて、ぬちぬちと音がするのがたまらなくやらしい。  は、と自分の息が、大きく聞こえた。美藤はローションを取り出して、それを陰茎にたらした。冷たいそれはたらたらと尻の方にも回った。もしかしたらそうかもしれないと思ったが、そこに美藤の指が入っていく。  たまらず、ううと、横尾はうめき声をあげた。  殴って駄目なら犯そうという思考は本当に最低だけど、女にならわかる。だが、男にしたところでどのくらいのダメージになるのかと思ったが、これはなかなか屈辱だ。身動きもできず、上に乗られて見下され、自分の中に無理やり侵入される。 「あっ」  自分の口からキモイ声が出た。美藤の指がなにか、気持ちのいいところを撫でて声が出てしまった。 「ちょっと、まっ、ああ!」  声が大きくなりそうで横尾は唇を噛む。横尾をが反応をしたところを、美藤は必要に潰すように撫でた。 「ん、ん、」  声がもれた。口の端から、よだれが垂れる。なんでこんなことになっているのだろうか。どうして、こんなにしても美藤は自分と関係を断ちたいんだろうか。  口を閉じるが、呼吸が持たない。でも開けたら声が出る。気持ち良さと酸欠で頭がよく回らない。  腰が波打って、足がびくびくと動くのを美藤が体をつかって抑えている。  浅い息があさましい。  ぐいっと、強く美藤の指が突っ込まれた。長い時間をかけて、指は三本入るようになっていた。  ふいに、美藤が上半身を乗り出した。本当に久しぶりに横尾と美藤の目が合う。少し、闇になれてきた目で横尾が見た美藤は、怒り燃えている目をしていると感じた。 「なんで、あっっ、おこってんの」 口をひらくと、喘ぎ声が一緒に出てくる。 「ふあ、ゆきちゃ、最低だけど、きもちいから、んんっ、わかんない」  横尾がしゃべっていると、美藤は口に指を突っ込んだ。横尾の口内を二本の指が容赦なく犯している。横尾の口からはよだれがあふれて、息がくるしいのに、それも気持ちよくて、舌を絡めた。  下の穴から指が急に一気に抜かれる。美藤が自分のジーンズを下げるのを横尾は音で感じた。  口に突っ込まれた指が抜かれた。美藤のものがジーンズから出てる。つかの間の快感から解放されて、ぼんやりと横尾はそれを見ていた。足を持ち上げられるとそれは尻の出口のはずの穴にあてられた。  ゆっくりと、中に侵入してきた。ずるずると押し入る圧迫感と熱さと固さに息ができない。 「ん、はぁ、……」  できるだけ力を抜いて、入いりやすいようにする。全部、入ったところで、太ももの付け根同士があたる。美藤の頭がすぐ下にあって、汗のにおいがした。  一息つくと、中を何度も突かれた。下から突かれるたびに、えずくような喘ぎ声があがってくる。力強く腰を捕まれて、奥の奥まで入って来ようとする。それが気持ちよかった。ずりずりときもちのいいところをつぶされる。 「っっ、イっク!」  意識が飛びそうになったとき、美藤が前をさわって、白い粘液がはじけ飛んだ。頭が白くて、目の前がぱちぱちするような激しい快感が横尾を襲った。  息を整えようとする横尾を美藤は一瞬眺めて、律動を再開する。横尾は何かが決壊したのか、さっきまでは抑えようとしていた声を垂れ流した。  美藤は強く何度も突いた後、横尾に覆いかぶさり、自身を一番奥まで突っ込んで、精液を放った。  しばらくして美藤は奥まで突っ込んだものを抜いた。横尾には長く感じられたけど、実際にはそんなに長くないのだろう。いやらしく白い液が穴からでて股を汚している。  しばらくお互い無言だった。  美藤は腕の拘束を解き、美藤が上からどいたので、横尾は重い体をあげて風呂に向かった。  美藤は、幼馴染を強姦してまで、突き放そうと思ったのか、そんなにも自分のことがいやだったんだろうか。自分は、それで、ここまでされて、どう思っているんだろう。  混乱と疲れとで、横尾は風呂を出て、すぐに美藤の部屋を出た。  家に戻って、いったんなにもかもを忘れて、その日は泥のように眠った。

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