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 朝、横尾が起きると、目の前に、新見が寝ていた。まつげは長く目の丸さがわかるように、瞼が閉じられている。やっぱ新見はかわいいなと思っていたところで、自分の意識が目覚めてきた。  ベッドには新見と横尾が、床に依田と東が寝ていた。  横尾は朝の眠気で、なかなか覚醒しない頭を振り払うために台所で水を飲んだ。きれいな水が体に入るとなんだか意識もきれいになるような気がする。  はっと、昨日のことを思い出した。なんだか調子にのって言わなくてもいいことを言った気がする。昨日の思い出そうとすると、あの日のことも脳裏にあぶられるようによみがえってきた。  横尾は確かに美藤に強姦された。意味が分からなかったが、数日すると、その出来事は横尾の中で受け入れることのできる出来事になった。自分は前から、美藤に対して甘いところがあるとは思っていた。長年一緒にいる幼馴染で、生きている環境がかわいそうで、世話焼きだった横尾は多少いきすぎだと思ってはいたが、それを特別変だとは思っていなかった。  ただ、強姦さえも簡単に許せる。そもそも、そこまで拒絶してもなかった、というのなら、この美藤に対する思いはいささか異常かもしれない。美藤に対する思いを横尾はもう一度考え直した。そしてこれは異常な執着だと結論づけた。  数日後、横尾は普通に美藤の家を尋ねた。彼はやっぱり鍵を開けて、ばつの悪そうな顔をした。  異常な思いだと思って美藤に接すると、美藤がただでさえかわいかったのに、以前よりさらに、かわいくてかわいくてしょうがない存在になっていた。この気持ちは、幼馴染だから、世話焼きだからというものをこえた執着だ。  強姦はこの後も何回か、おこなわれた。決まって、美藤の機嫌が悪い時だった。だけど、それに嫌悪を感じることは一回もなかった。  横尾はこの異常な執着は恋愛というものに近いと位置づけた。近いというのは、それよりも、もっともっと黒い気持ちだと感じたからだ。ライオンは獲物がかわいくてかわいくて、食い殺すんだとなにかで、聞いた。  横尾は美藤のことを思い返す。彼は探してくれているだろうか。  ほかの三人はまだ寝ている。せっかくだし、朝飯でもつくろうかと、横尾は朝飯を作り出した。

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