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「横尾のいた中学がわかるから、付近の中学出身、洗ってるんだけど、出てこないんだよね」 「そうなのか」 「イケメンの話は俺が単体で動いてるから洗えないのかもしれないけど。今、プライバシーとか厳しくてあんまり教えてくれないしね」 「へぇー」  美藤は普通に周辺の中学出身だけど、そんなに難しいのだろうか。 「もしかして、すっごいガラ悪い学校だった?」 「そう言われると、そうだけど」  横尾のいた周辺の公立の中学は総じてすべてがガラが悪い。だから普通の家は私立に受験するのが一般的だ。だから、私立の中学も多いし、比較的他の地域に比べると安いと聞いたことがある。 「そんで寡黙なタイプか……。基本的に聞き込みが多いんだけど、本人が語らない上に、中学の評判が悪いと、ここの学校関係の人もそんな生徒が来てる学校は評判が悪いって、出身校隠すんだよね。学校と家の話は良ければよいほど簡単に出てくるから」 「あー、家もあんまりいいとこではないな」  美藤の家は歓楽街の表に出来ないことはなんでもしている。金持ちだが、家柄はたいへん悪い。 「でも、そこまでわかると、逆にわれそう。中学も家もガラも良くない、寡黙なイケメン」 依田は真剣に考えだしたのか行動が止まった。 「ばれてもいいの?」  新見はずっと食べている。彼は意外に大食漢である。 「まぁ、別に。相手にばれなければ。依田すぐにしゃべりそうだけど」 「だめじゃん」 「まぁ、そうだけど」 「横尾は、その人、学校で見たことあるの?」 「一回だけ」  横尾が美藤をみかけたのは、四人で遊びに言った大学の時だけだ。正確にいうと学校ではないかもしれない。 「どんな感じだったの?」 「あんまり見えなかったけど、なんか頑張ってるみたい」 新見と横尾が話しているのを東が胡乱げに見た。 「横尾、今ののろけだろ」 「ばれた?」 「スゲー目が輝いてた」 東はあきれた顔で葉ものの和え物をつついた。最初は優しそうな顔しか見せなかった東もこの一か月でだいぶ横尾とは打ち解けた。 「意地張ってないで、さっさとくっつけばいいじゃん」  東はどうでもよさげにそう言った。 あんまり事情をわかっていない新見はのほほんと笑いながら、まだ食べている。 「俺が怒らして、逃げたからな。絶対なぐられるし怖い」 「ひどい男だな」 「でも、怒ってる姿ってかわいくね?」  横尾はたいていの美藤がかわいいと思うが、怒ってる姿が格別だと思っている。 「わっかんねーよ。それ、相手男だろ」  依田が突然、横尾と東の間に割り込んだ。横尾の甘い雰囲気の照れ隠しもふくんでいるのだろう。 「でもイケメンだぜ?」 「イケメンが怒るとことか、怖いわ。さらにわからん」 「依田、ビビりだもんね」 と新見が辛口に言ったので依田はテンションをさげる。 「横尾の、相手誰かしぼれた?」 「わかんない。家に帰ったらある程度、絞れるかもしれねぇけど、たぶんスポーツマンタイプじゃない」 「当たってるけど。もうそろそろこの話はいいだろ」 横尾はいい加減この話は飽きたといった。

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