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再会
朝、朝礼の前のぎりぎりの時間に靴箱に着いた。この時間はもう生徒は教室についてるはずなので、靴箱には人が少ない。直にチャイムがなるので、本来は走らないといけないんだろう。美藤が靴を履きかえる間に藤原が来て、その時チャイムが鳴った。
「行こうか。不備がないといいけど」
二学期はわずかな調整なのでよっぽどのことがないと不備はでないと藤原は美藤に話す。ただ去年は藤原は書き間違えがあって、たいへんだったと語った。事務室は靴箱からすぐなので、すぐにつき、書類を提出した。事務員が書類を確認している。
二人でそれを待っていた。
今は朝礼をしているはずだが、美藤は朝礼にろくに出たことがなので、具体的になにをしているのかわからない。
「あつ、そうそう」
藤原が鞄から携帯をだした。藤原の鞄にはでかい毛玉みたいなマスコットがついていてそれが揺れている。スマホを藤原はさらさらと動かす。携帯を買ったばかりで、さらにろくにさわってない美藤はそれを不思議に思いながら見る。
「昨日言ってた子だけど、コミュ障の友達がいるんだけど友達募集中だから友達になってくれないって、連絡してたら、いいって。連絡先送るから、携帯だして」
最悪な紹介だ。と美藤は思ったが、いわれるままに、携帯をだす。ほんとに少し前に買った携帯はまだ画面のビニールをはがしていない。
携帯の画面に電波が出てる画像がでた。そして電話帳に一件登録しますの後に出てきた情報に、美藤は目を疑った。
電話帳に載っているのは、良く知っている名前と電話だった。
「名前は、横尾仁志くん。見た目はさわやかな好青年でいい感じだったよ」
藤原はご機嫌に、スマホの画面を美藤に向けた。そこには藤原とならんでピースをつくる横尾がいた。
「はっ?」
目の前の写真と手に持つ情報に美藤はしばらく放心した。
それでもなんとか気を戻す。よくわからない。でも、赤い感情が沸騰している。藤原はこの学校の生徒だと言わなかったか?
「こいつと、どこで知り合った。こいつは、いま、どこにいる?」
美藤はくらくらする頭を押さえた。後の問いは自分に向けた混乱だった。
「知りあったのは、詳しく言うとあれだけど、まぁ、寮の居残り組の交流会だね。どこって、さぁ? 一年の教室のどこかで朝礼受けてると思う。ここの一年なんだから」
藤原はとても軽くそう言ってのけた。美藤の中のいろいろな感情が怒りにシフトするのが自分でわかったが、それを藤原にぶつけるという選択肢を選ばないぐらいには美藤は大人になった。
「もしかして、知り合いというか本人?」
藤原は状況をわかってはいないが鋭い。美藤は答えることなく無視してにらんだが、それが答えと言いえるだろう。
「せっかくだし、呼んでみたら?」
それも、しゃくだった。美藤はいったんそこで冷静になれと、自分を諭す。そもそも美藤は、自分で探せと言われていた。が、偶然だが、居場所を知ってしまった。
「いい」
探せなかったが、それが悪いとはおもわない。これは運がよかったのだ。
「探すから」
それでも、せめて最後ぐらいは探しに行こう。
事務室の中の時計をみた。一時間目が始まるまで、まだ、わずかに時間はある。
自分は目立つからきっと、迷惑になるだろう。それはわかりきっているけども美藤の脚はとまらなかった。いろんな感情が、目の前が赤く燃えるような怒りになっている。
さんざん、探せと行っといて、同じ高校にいるなんて、探せないと嘆いた自分はバカみたいだ。
何を思って横尾はあんなことをいったのか、自分をバカにしてるのか、そうだ、ばかにしてるに違いない。いつもあいつは自分を手のひらで転がしているのだ。
とにかく、美藤は怒っていた。それは一歩踏み出す毎にましていく。もはや切れているといってもいい。大股でずんずんと一階の一年のフロアに向かう。美藤を見た生徒たちは珍しい美藤を見れたことを喜び、今から熊でも倒しにいくのかと言う形相に恐怖した。二年にあがって丸くなったと言われてる美藤だが、それまでは売られた喧嘩にすべて勝つといった、不良様だったのだ。
廊下はにわかにざわつき出した。
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