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 横尾は教室につくやいなや机につっぷした。夏休みが終わると難波が家から、ノートパソコンを持ってきた。昨日は難波が、いなかったので、パソコンを借りてネットサーフィンをしていたのだ。横尾はネットをそもそもあんまりしたことがないのもあって、ついついやり過ぎてしまった。寝坊しそうだと思ったけど、体は定時きっちりと目が覚めた。それでも眠たくて、教室についたとたんに寝る始末だった。  おはようと声をかけた新美にも手を降るだけで、顔をあげることはなかった。 それでも、完全に眠ってるわけではなくて、針の先ほどの意識でなんだか外がうるさいなと感じていた。 「おい、外見ろよ」 「珍しい、なんだろう。すっげー怒ってるけど、」 「近くで見るとやっぱかっこいいな」  一年のフロアは騒然としている。いろいろな意味で有名な二年生が廊下を歩いている。  普段の美藤なら、その回りのうるささに辟易としたところだがそんなこと気にならなかった。廊下には一年のクラスが並んでいる。なん組かはわからないがどこかにはいるはずだ。時間は朝礼が始まる少し前、教室にいる可能性も高い。  階段を降りてL字の前に見える廊下に並ぶ教室は4、5、6、と並んでいる。横は空きでそこから、3、2、1と並んでいる。  どこからでもいい、と美藤は足の赴くまま空き教室の前を通った。三組の後ろの扉は、閉まっていたが、窓は開いていた。そこから、顔を出すが知った姿はない。すぐそばの生徒が息だけの悲鳴をあげた。  ざわざわと、美藤の行方にたくさんの目がおう。  美藤はそれをもろともせず、二組に足を動かした。  二組は窓も扉も全開だった。危険を察知したのか、その周辺に人がいない。 舌打ちをすると、廊下にいた気の弱そうなやつの肩がゆれた。  中を見渡した。おおよそのやつが美藤と目が合わないように、でも、美藤を見ていた。  そのなかで、教室の奥、窓の手前で一人寝ているやつがいた。その髪と、背中のシルエットは美藤が探していた人物に相違がなかった。  美藤は足を教室に踏み入れる。教室はとんでもない緊張感に包まれているが、横尾はまったく起きあがる気配がない。それにも美藤はいらだった。 横尾のまえで、美藤は立ち止まった。

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