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第12話
「あの…ありがとう///」
思う存分泣いてスッキリした俺は、急に自分のした事が恥ずかしくなった。
いくらなんでも初対面の人の胸で取り乱しすぎたと思う。
柊吾 の着ていたシャツは、俺の涙のシミだらけだった。
「抱いてやろうか。男の傷は男で癒すのが一番だ」
「えっ…///」
ど、どうしよう///
柊吾にさんざん抱きついた後だけど、この流れでセックスするのはちょっと…。
でも、柊吾に抱かれたら、本当に彼の事を忘れられるのかな…。
いや、でもセックスってそんな勢いでする事でもないような気もするし…。
俺はすっかり混乱してしまった。
「お前…なんて顔してんだよ。冗談に決まってるだろ」
うろたえる俺を見た柊吾がプッと吹き出した。
…その夜、俺は誘われるまま柊吾のベッドに入った。
セックスする気にはなれなかったけど、1人で眠るのも淋しかったから。
嗅ぎ慣れない男の人のにおい。
自分のベッドよりふかふかで、しっくりくる場所を探すのに苦労した。
でも、久しぶりに感じた人の気配や温もりはどこまでも優しかった。
どうしよう、もっと甘えたい…。
でも、今それを口にするのは躊躇われた。
もし、誘ってると勘違いされてセックスの流れになったら怖いから…。
それに…柊吾の事を嫌な奴だって思ってたから、自分から甘えるのはちょっと悔しかった。
「手…握ってやろうか」
「で、でも…」
「今夜相手しろなんて言う訳ないだろ」
柊吾は俺にデコピンをすると、そっと俺の手を握った。
あったかい…。
もう少し…くっつきたい。
きゅっと手を握り返して柊吾を見つめた。
察した柊吾は何も言わずに腕枕をしてくれた。
柊吾の温もりは、辛い現実から俺を守ってくれているような気がした。
ホッとしたらまた涙がこみ上げてきた。
「結局泣くのかよ。泣き虫だな、お前」
「だって…こんな時に優しくされたら無理だよ…」
グスグスと鼻をすすりながら、自分からも体を寄せた。
もうこうなったら、とことん甘えようと思った。
「あぁもう、何だよお前」
柊吾はまた髪や背中を撫でてくれた。
柊吾は泣き疲れた俺が眠るまでずっとそうしていてくれたんだ…。
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