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家政夫は大忙し☆ 第27話 | 奏和(かなと)の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
家政夫は大忙し☆
第27話
作者:
奏和(かなと)
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第27話
麻斗
(
あさと
)
さんが話してくれたのは事故の話だった。
柊吾
(
しゅうご
)
が20歳だった2年前。 当時の恋人とドライブデートを楽しんでいた時の事。 スピードを出し過ぎた大型トラックが後ろから突っ込んできて、数台が絡む玉突き事故に巻き込まれてしまった事。 幸い柊吾はケガだけで済んだけど、助手席にいた恋人は生命を落としてしまった事…。 柊吾は『自分と恋をしなければ事故に遭う事もなかった』『あの時ドライブに誘わなければよかった』と、自分を責めて、責めて…。 通っていた大学も辞めて、友達との連絡も絶って、ほとんど外に出なくなってしまった事を聞いた。 元々は優しい性格だけど、時々事故や恋人の事を思い出して情緒不安定になる事もあるそうだ。 俺は途中から涙が止まらなくなった。 柊吾の気持ちを考えたら、泣かずにはいられなかった。 2日めの夜、すがるような瞳で『行くな』って言ったのは、恋人と俺の姿を重ね見たのかも知れない。 一人で眠ろうとしないのは、事故の夢を見るのが辛いからかも知れない。 柊吾の抱えていた『何か』はこの事だったんだ…。
秀臣
(
ひでおみ
)
さんも麻斗さんも仕事があってどうしても柊吾を1人にしてしまう事がある。 思い詰めた柊吾が間違いを起こさないかの見張りと、柊吾の話し相手も兼ねて家政夫を雇っているらしい。 そんな事があったなんて知らなかった。 話す機会なんていくらでもあったのに、柊吾は何も言わなかったから。 柊吾は毎日俺の作る食事を『美味い』と言って平らげ、リビングや自分の部屋で過ごしていた。 ボーっと窓の外を眺めている時もあったし、気まぐれにピアノを弾いて聴かせてくれる事もあった。 時々切ない表情を浮かべながら俺を抱き寄せる事もある。 その理由はわからなかったけど、柊吾の抱えている『何か』なのかな…と思って、家事の手を止めてなるべく柊吾の気持ちに寄り添うようにしてきた。 別れた彼を思い出して泣いた俺の側にいてくれた柊吾のように、俺も柊吾の心を癒せたらいいと思ったから。 1日の大半を一緒に過ごすようになって、少しずつ柊吾の事もわかるようになってきた。 柊吾は兄弟の中で一番繊細で優しい人。 それを隠すようにわざとぶっきらぼうな話し方をする事も。 歳下っていう事もあって、そんな感じも可愛くてたまらない。 弟がいたらこんな感じなのかな…。 でも、時々ドキッとしてしまうような大人びた表情をする。 柊吾が俺に手を出してきたのは初日だけ。 手を握ったり、抱きしめ合ったりはするけど、それ以上の事は絶対してこなかった。 最近はそれが少し淋しいと感じる瞬間も出てきた。 柊吾に恋をした訳ではないけど、もしセックスの相手を求められたら、してもいいかな…そう思うくらい、柊吾に心を許すようになっていた。 どうしよう…。 こんな重要な事を知ってしまって、今夜どんな顔で柊吾のベッドに入ればいいんだろう…。
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奏和(かなと)
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