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第2章 第1話

あれ…ここはどこ…? 眩しくて周りがよく見えない。 目を擦りながら辺りを見回すと、そこは小ぢんまりした教会だった。 「環生(たまき)、愛してるよ。俺と結婚しよう」 真っ赤なバラを差し出す白いタキシード姿の麻斗(あさと)さん。 「環生、俺と一緒になって欲しい」 指輪を差し出す秀臣(ひでおみ)さんは黒いタキシード姿。 「環生、俺を選べよ」 手を差し伸べるのはライトグレーのタキシードを着た柊吾(しゅうご)。 「む、無理だよ、急にそんな事…。3人とも素敵だから選べないよ///」 3人のプロポーズを必死に回避しようとする俺は淡いピンク色のタキシード姿。 何これ、俺…夢を見てるの…? 「ん…じゃあこうしよう。環生が選べないなら俺たち全員と結婚すればいい」 「そうだな、これからも4人で仲良く一緒に暮らそう」 「いいな、それ。今とさほど変わらないしな」 待って、3人とも何言ってるの…? 全員と結婚なんてできる訳ないよ…。 「夜の夫夫(ふうふ)生活も皆で交代だよ。今夜は俺のところにおいで」 「いや、俺のところだ」 「それは譲らない。環生は俺の部屋で寝るって決まってるんだ」 3人は俺を無視して俺の取り合いを始めた。 誰も俺を見てくれない。 俺の気持ちはどうなるの…? 「ちょっと待って、本当に選べないってば…!」 堪え切れずに大きな声を出すと3人が一斉に俺を見た。 俺は3人とも同じくらい好きだから、誰か1人を選ぶ事もできないし、そもそも選ぶつもりもない。 「…わかった、それなら4人でしようか。そうすれば選ばなくてもいいし」 麻斗さんは俺のお尻を優しく撫でる。 「そうだな、それなら公平だ」 秀臣さんは俺の胸を。 「環生、それでいいな」 柊吾は俺自身を。 「無理だよ、4人でなんてそんな…///」 3人は口々に『好きだ』とか『可愛い』とか言いながら俺のおでこや頰にキスをする。 体を撫で回す3人の手に翻弄される。 どうしよう、そんなつもりないのに、気持ちいい声が出ちゃう…! 「さぁ、環生。ベッドへ行こう…」 麻斗さんが耳元で囁いた…。

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