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第2章 第3話
「ねぇ、環生 。俺たちと夢の続き…してみない?」
麻斗 さんのものすごい色気に圧倒されて思わずうなずいてしまった。
「こっちだよ、入って」
嬉しそうな麻斗さんに手を引かれて奥の部屋へ。
初めて入る部屋。
ここの掃除は必要ないって言われてたから、勝手に『開かずの間』って呼んでいた。
全く生活感のない真っ白でシンプルな部屋。
部屋の真ん中に置いてあったのは高級ホテルのスイートルームにありそうな大きなベッド。
オレンジ色の間接照明。
かすかに漂うアロマの香り。
麻斗さんに促されて、ベッドに座った。
光沢のある滑らかなシーツ。
柔らかくて気持ちよかった。
…きっとここはセックスをする専用の部屋。
歴代の家政夫もここで皆の体のお世話をした事があるのかな…。
…って、今はそんな事どうでもよくて!!
今からするのは、俺の夢の続き。
秀臣 さん、麻斗さん、柊吾 とエッチな事をする。
でも、どうしよう…。
流れでここまで来ちゃったけど、怖くなってきた。
それなりにセックスの経験はあるし、行為自体も好きだけど複数でするのも、恋人でない人とそういう事をするのも初めて。
緊張で口から心臓が飛び出しそう…!
でも待って。
麻斗さんはセックスに興味がないはずだから、エッチな気分になった俺をからかって遊んでるのかも。
そうだよね、そうに決まってる。
そんな事を考えていたら、秀臣さんと柊吾がやってきた。
だめだ、冗談じゃなかった…!
「環生 、待たせたね」
「なんだよ、様子が変だと思ってたらたまってただけかよ…」
複数でエッチな事するなんて(しかも相手は俺だし…)無茶に付き合わせるなんて申し訳なさすぎる。
どうして断らなかったの…。
2人とも優しすぎだよ…。
「大丈夫だよ。プレッシャーを与えるといけないと思って環生には言ってなかったんだけど、俺たち少し変わった性癖でね。複数プレイでないと最後までできないんだ」
「柊吾は2人でも大丈夫らしいがな」
秀臣さんも麻斗さんに続く。
そ、そうなの…?
いきなりのカミングアウトに驚いたけど、妙に納得できる部分もあった。
秀臣さんや麻斗さんといる時、その気になればいくらでもエッチな事ができるシチュエーションでも、全然そんな雰囲気にならなかったから。
「環生が嫌がる事や痛い事、酷い事は絶対にしない。皆、自分の気に入った子が誰かの手で気持ちよくなってるのを見ながらセックスするのが好きなんだ。だから俺たち3人が全力で環生を気持ちよくしてあげるからね」
俺…4Pの総受け担当なんだ…。
現実でもそんな事あるんだ。
BL小説とか、AVの世界だけだと思ってた…!
「ちょっと試してみる?嫌だったらすぐに止めるから」
どうする…?と、麻斗さんが色気満載で誘ってくるから、思わずうなずいてしまった。
俺、流されすぎでしょ…。
「かーわいい。じゃあ準備するから待ってて」
麻斗さんは俺のおでこにチュッとキスをした。
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