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第2章 第20話side.麻斗

〜side.麻斗(あさと)秀臣(ひでおみ)の絶頂を受け止めた環生(たまき)は、幸せそうに微笑んだ後、秀臣の腕の中で気絶するように眠ってしまった。 俺たちの精液や汗や唾液をその身にまとったまま。 こんな小さな体でよく頑張ってくれたと思う。 なるべく負担をかけないようにしたつもりだけど、きっとたくさん無理をさせてしまった。 今日はもうこのまま寝かせてあげたいけど、体もキレイにしてあげたい。 「環生、起きれる?体流そうか」 呼びかけても、頬をつついても目を覚ます気配はなかった。 「起こしたらかわいそうだ。このまま風呂場へ連れて行こう」 そう言いながらも秀臣は環生を離さない。 髪を撫でたり、背中をさすったりして環生を独り占めし続けた。 俺だって環生を可愛がってあげたいけど、秀臣が誰かに興味を持っている姿が珍しいから、黙ってその様子を見守った。 「俺が連れて行く」 柊吾(しゅうご)は少し強引に秀臣から眠っている環生を引き取ると、愛おしそうに頰を撫でた。 恋人を見つめるような優しい瞳。 しばらく環生を見つめていた柊吾は、大切そうにお姫様抱っこをして立ち上がった。 秀臣も柊吾もそんなに環生が大事なら、告白して恋人になってもらえばいいのに…と思う反面、まだ皆の環生でいて欲しい気もする。 俺は環生が目を覚ましたらたくさん労ってあげよう。 環生が食べたがっていた駅前のケーキ屋さんの期間限定フルーツケーキも買って来よう。 その時だけは環生の笑顔を独り占めするんだ。 秀臣と柊吾の振る舞いを微笑ましく思いながら、着替えを用意したり、お風呂のお湯を温めたり…と、裏方に徹した。 「環生、触るぞ」 柊吾は眠ったままの環生に一声かけると、ゆっくり指を挿れて精液をかきだした。 環生は眠っているはずなのに、無意識で柊吾に体を寄せたり、手を伸ばして俺たちの温もりを探すみたいな仕草をしたり。 幸せそうに笑いながら眠っていた事に安堵した。 環生はセックスの相手だけでなく、俺たちの心のケアまでしてくれた。 たくさん気をつかったはずなのに、こんなに嬉しそうな顔をして眠るなんて…。 「困ったな。もう…手離せない」 思わず呟いてしまった。 タオルで口元を拭いてあげながら。 「そうだな」 「間違いないな」 秀臣も柊吾も同じ意見だった。 3人の意見がなかなか一致しない俺たち。 珍しく同じだったのは、焼き菓子はプレーン派だという事くらい。 「なぁ、コイツ本当にもうすぐいなくなるのか?」 柊吾が淋しそうに言った。 「…そうだよ。残念だけど」 環生の契約終了日まであと数日。 元々、短期の予定だったから。 本当はこれからもずっとこの家にいて欲しい。 環生が嫌がるなら体を求めもしない。 ただ、俺たちの側で綿菓子のようにふわふわ微笑んでいて欲しいんだ。 存在そのものが愛おしいから。 「環生が起きたら、気持ちを聞いてみよう」 秀臣はそう言いながら環生のおでこにそっとキスをした。

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