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第3章 第11話
朝ご飯の後、ひと通りの朝家事をした俺は自分の部屋へ引っ込んだ。
お昼ご飯の準備の時間まで一休みしようと思った。
一晩中セックスしてたから眠くてたまらなかった。
まだ悟 のにおいを消す気にはなれなくて、お風呂も入らないまま布団にくるまった。
「おい、環生 」
ふすまの向こうから聞こえる柊吾 の声。
「何?」
俺、休むって言ったのに。
「俺の部屋来いよ。慰めてやるから」
「行きたくない。放っといて」
悟との思い出に浸りたいから邪魔しないで欲しい。
「じゃあ俺を入れろよ」
「嫌だ。今は1人にして」
しつこいから素っ気ない返事をしてしまう。
「俺が心配なんだよ。頼むから今日だけは俺の目の届くところにいてくれよ」
さっきより必死な声に胸がドキッとした。
柊吾は一晩中俺の心配をしてくれていた。
朝も俺を探しに外に出てくれた。
大好物のクリームパンを買ってきてくれたのも、エレベーターで抱きしめてくれたのも、全部俺を思っての事。
俺の部屋は和室で鍵なんてついてないから、その気になれば勝手に入って来れるのに、柊吾はそれをしなかった。
「今、開けるから」
俺はのろのろと起き上がってふすまを開けた。
「環生…」
俺の姿を見てホッとしたような表情をする柊吾。
どうしてそんな顔するの…。
「眠いから…横になっててもいい?」
「ん…」
俺が布団に入ると、柊吾はすぐ側に座って俺の手を握った。
心配して来てくれたのに自分だけ寝転ぶなんて失礼な事をしても許してくれる柊吾。
柊吾になら自分のしたい事や言いたい事を何でも言える。
俺の事も大事にしてくれるし、誰よりも俺の事をわかってくれる。
朝から晩まで一緒にいても息が詰まる事もない。
一緒に雑誌を見ながら話すのも楽しいし、逆に全然会話がなくても平気。
まるで空気みたいな存在。
柊吾が側にいるのが当たり前。
待って、そんな相手なんてなかなかいないよね…。
もしかして柊吾が運命の人…?
俺の小指の赤い糸は柊吾に繋がってるのかな…。
「ん?何だよ、じっと見て」
「あ、ううん…。別に…」
「変な奴」
柊吾は俺にデコピンをした。
「…柊吾ってさ、『運命の赤い糸』って信じる?」
俺は思わずそう聞いてしまった。
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