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第4章 第2話
『電車出発したよ。送ってくれてありがとう』
俺はペットボトルのミルクティーを飲みながら母さんにメールを送った。
返信を待ちつつ、秀臣 さんたちのグループLINEにも連絡を入れる。
『今、地元の駅を出発したよ』
すぐに既読になって『待ってる』『気をつけて帰っておいで』『駅まで迎えに行く』とそれぞれ返信があった。
秀臣さん達が待つ家まで1時間45分くらい。
普段ならスマホをいじったり、うたた寝をしたりして、あっという間に過ぎてしまうはずの時間。
でも、今日はすごく長い気がした。
家族仲はいい方だし、地元も大好き。
父さんも母さんも俺の帰りを歓迎してくれたし、俺の部屋もそのまま残されてるけど、今日は何だか落ち着かなかった。
自分の実家だけど、もう俺の居場所じゃない…そんな少しの違和感。
もっとゆっくりしていくように言われたけど、秀臣さんのあったかい眼差しや、麻斗 さんの柔らかな言葉、柊吾 の優しい温もりが無性に恋しくなって予定より早めの電車に乗ってしまった。
電車の窓から外の景色を眺める。
今まで帰り道は、山や自然が遠くなっていくのが淋しくて仕方なかったけど、今日は違った。
秀臣さんたちが待っていてくれるから、1秒でも早く帰りたかった。
両親は俺の近況に驚いてはいたけど、最終的には俺の選択を受け入れてくれた。
『私たちが願ってるのは環生 の幸せよ。キスマークの彼にもよろしくね』
駅まで見送りにきた母さんは、ふふっと笑いながら、地元のお菓子や漬け物、乾物類…持ちきれないくらいのお土産をたくさん持たせてくれた。
『目立つところにキスマークをつけて、周りに自分の存在をアピールするなんて可愛いわね。環生は愛されてるのね』
改めて言葉にされると恥ずかしかった。
その相手が母さんだから尚更///
昨日の柊吾は『誰にも触れさせない。環生は俺のだ』って、やたら独占欲丸出しで、首筋だけでなく胸や内もも、背中やお尻にまでキスマークをつけた。
その後で体の奥にもたっぷり柊吾を刻みつけられた。
俺は俺のもの。
柊吾のものになる気なんてない。
でも、昨日の荒々しくて雄っぽい柊吾にドキドキした自分もいる。
柊吾に征服されたい、支配されたい…そう思ったら、お腹の奥がキュンとした。
最初は獣みたいだった柊吾だけど、セックスしてるうちに様子が変わってきて、だんだん切ない表情を浮かべるようになった。
口では荒っぽい事を言ってたけど、実は俺が離れていかないよう必死に俺を繋ぎ止めようとしてるんだと気づいた。
そんな甘えん坊な柊吾もちょっと可愛く思えて、今度は胸の奥がキュンとした。
早く帰って柊吾を安心させてあげたい…。
そんな事を思っていたら、柊吾から個人的にLINEがきた。
『やっぱりホームまで行く』
相変わらず柊吾は過保護。
きっと俺がナンパされるとか、不審者に追いかけられるとか思ってるんだ。
心配しすぎだよ…。
でも、きっと両親の次に俺の心配をしてくれるのは柊吾。
『ありがとう。2両めに乗ったよ』
俺はそう返信をして『よろしくお願いします』のスタンプを送った。
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