92 / 420
第4章 第14話
次の日の朝、目が覚めたら誠史 さんの腕の中にいた。
昨日眠る時は誠史さんが俺の腕の中にいたのに。
いつの間に交代したんだろう…。
酔った勢いや話の流れもあったけど、初対面の男の人と温泉旅館で一泊した上に、一緒の布団でくっついて眠ったなんて///
しかも相手は秀臣 さん達のお父さん。
ちょっとイケナイ事をしてしまった気分になった。
誠史さんの寝顔。
一瞬、秀臣さんと眠ったのかと勘違いしてしまうほどそっくりで、ついつい見つめてしまった。
「おはよう、環生 」
「おはよう…ございます///」
俺が身動きしたから、目を覚ましてしまった誠史さん。
エッチな事をした訳じゃなかったけど、明るい部屋で顔を合わせるのは、少し気恥ずかしかった。
「昨日はすまなかった。大人げないところを見せたね」
「いえ…、少しは楽になれましたか?」
「あぁ、ありがとう」
少しスッキリした様子の誠史さんはそっと俺のおでこに唇を寄せた。
誠史さんが元気になったのが嬉しくて、俺も誠史さんの顎にキスをする。
「一緒に過ごしてみて、息子たちが環生を手離せない理由がよくわかったよ」
「え…?」
「甘えん坊だが芯は強い。可愛いかと思えば時折色っぽい。そのギャップと、いつも側にいてくれる安心感が心地いいんだろうなぁ」
「れ、冷静に分析しないでください。恥ずかしいです///」
照れて真っ赤になってるのが自分でもわかる。
いつも皆から口々に『可愛い』とか『甘えん坊』だとか『エロい(3人から言われるエロいは誉め言葉だと思ってる)』とか言われてるし、俺の顔や俺とするセックスが好きだとまで言われてるから、充分すぎるくらい承知はしていたけど、第三者の立場の人から改めて言葉にされると恥ずかしかった。
「俺が環生に魅かれた理由もそこだよ。そんな環生が味方をして、心も体も癒してくれるなら何でもできる気がする」
「あ、ありがとうございます…///」
そんな大した事してないと思うけど、相変わらずの誉め上手。
「秀臣たちのところへ帰すのは惜しいなぁ。このままロンドンへ来るかい?」
そう言いながら、温かい手で俺の首筋から鎖骨のラインをゆっくり撫でる。
俺の反応を伺いながら浴衣の前合わせから手を忍ばせてくる誠史さん。
そ、そんなエッチな触り方したら、体が反応しちゃう///
「だ、ダメです…。そんな事されたら勘違いしちゃいます。俺…恋人じゃない人でも、好きだなぁって思ったらエッチな事したくなっちゃうから…」
急いで誠史さんの手をつかんでストップをかける。
素敵な誠史さんにこれ以上されたら勃っちゃう///
「誰かの身代わりではなく、純粋に環生を抱きたいと思ったら、相手をしてくれるかい?」
「ダメです。俺…男です」
目を覚まして、誠史さん!
誠史さんはノンケさん。
ちょっとムラムラした時に、たまたま俺しかいないから、勘違いしてその気になってるだけだから…。
「もちろんわかっているとも。俺自身もそんな気持ちになった自分に驚いているし、他の男をそういう目で見られるかはわからない。でも、環生は違う」
誠史さんの心の中には奥さんがいるから、本気の告白ではないはず。
誰も不幸にならなくて、お互いの同意があればセックスしてもいいとは思うけど、彼は別世界の人。
一瞬の気の迷い。
だからこっち側に来てはいけない人。
俺は黙って首を横に振った。
「どうしてだい?『ダメ』は言うのに『嫌』は言わない。環生も同じ気持ちなんだろう?」
核心をつかれてドキッとする。
俺は誠史さんを見つめたまま黙ってうなずいた。
「…俺、誠史さんを嫌だなんて思った事ないです///」
本当は誠史さんとエッチな事がしてみたい。
もっと誠史さんを知りたい。
「本当に可愛いなぁ、環生は」
いいだろう?と確認するかのように指先で俺の下唇を撫でた。
そんな優しい眼差しで見つめられて、甘く囁かれたら無理だよ…。
我慢できる訳…ない…。
俺が目を閉じると、少し間があってそれから唇に触れた柔らかな温もり。
誠史さんの唇の感触。
こんなに優しい唇だなんて知らなかった。
昨日は奪うようなキスで、ゆっくり味わう余裕がなかったから…。
「…誠史さん…」
触れているだけのキスなのに、エッチな俺の体はすぐにスイッチが入る。
着てるのは薄い浴衣だから、こんなに密着してると簡単に兆しているのがわかってしまいそう…///
「環生…」
俺の腰を抱き寄せた誠史さんの下半身が俺の芯に触れた。
それは驚くほど硬くて熱くて、俺の体は一気に火照っていく。
誠史さんのそれは、本気で俺に欲情してる証だった。
ともだちにシェアしよう!