94 / 420
第4章 第16話(※)
「…よかったですか?誠史 さん」
俺は達した誠史さんが脱力して体重を預けてくれたのを見計らって声をかけた。
「あぁ、気持ちよくて堪え切れなかった」
ありがとう…と、満足そうな表情。
そっとおでこにキスされた。
「嬉しいです。俺…精液やイッた後の表情を見るの好きなんです///」
手にべっとりとついた誠史さんの精液。
思ってたよりたくさん出ていて、ムラッとした。
誠史さんが満たされた証。
もう舐めたくて仕方ない。
我慢できなかった俺は、白濁まみれの指をペロペロ舐めた。
これが誠史さんの味…。
ちょっぴり苦くて、とろっと濃厚でたまらない。
「環生 、止めるんだ///」
赤味を帯びた誠史さんの頬。
慌てるそぶりが可愛いと思った。
「嫌です。ご褒美を味わいながらイキたいから止めません」
いいでしょ…?と、指や手の平をわざとエッチな表情で舐めて見せた。
手首に伝ってしまった分は唇を寄せて啜った。
喉を通過していくとろみが性的興奮を誘う。
俺もイキたい。
全部出してしまいたい…。
「誠史さん、俺もイキたい。このままイカせて…」
首筋に鼻先を寄せて、誠史さんのにおいを嗅いだ。
腰を振って、誠史さんの手に弾けそうな下半身を擦りつけた。
「淫らな環生がたまらないな。ほらどうして欲しい?」
「もっと扱いて…。胸も強めに擦って…!」
誠史さんは俺のリクエスト通り胸も性器もさっきより強めに愛してくれる。
精液の味がするはずの俺の唇を貪るようにキスしてくれた。
「あぁん…もぅ出る…出ちゃう…!あっ、アァァっ!!」
俺は誠史さんの体にぎゅっとしがみつきながら精を放った…。
「環生、もっと近くに来るといい。手の届くところにいてくれないか」
「はい…誠史さん///」
達した後のふわふわ気持ちいい体で、一緒に温泉に入った。
昨日は離れて入ったけど、今日は寄り添いながら。
結局体を繋げる事はできなかったけど、心の距離が近づいた気がして幸せな気持ちになった。
イチャイチャしてる時に脱いだお揃いのパンツ。
どっちが自分のかわからなくなるアクシデントもあったけど、それも楽しい思い出。
朝ご飯に出た美味しい海苔の佃煮やお漬物を皆にも食べさせてあげたくて、手を繋いで売店へ。
誠史さんはずっと恋人繋ぎをしていてくれた。
こんな贅沢をさせてもらって、さらにおねだりするなんて図々しいからどうしようか迷ったけど、俺は誠史さんに貝殻細工が施された小さな置き時計をねだった。
誠史さんの住むロンドンの時間に合わせてリビングに置きたいと思ったから。
そうすれば離れて暮らす誠史さんを身近に感じられると思ったから。
誠史さんは嬉しそうな顔をして、リビング用と俺の部屋用と、自分用に同じ物を3つも買ってくれた。
寄り道をしようと誘われて、着いて行った旅館の近くのお店。
作家さんの一点物ばかりが並ぶアクセサリーショップ。
誠史さんが選んでくれたのは、小さな星が2つ寄り添ったようなデザインの繊細なネックレスだった。
洋服にも合わせやすそうな上品なゴールド。
シンプルだけど、どこかオシャレ。
さり気なく値札を見たら、驚くような金額だった。
「だ、だめです、誠史さん。こんなに高価なネックレス、俺にはもったいないです///」
俺にこんな素敵なネックレスをプレゼントしてもらう資格なんてない。
小さな置き時計を買ってもらえただけで充分なのに…。
「小瓶に詰められなかった星空の替わりだよ。これなら持って帰れるだろう?」
「嬉しいですけど、そんなつもりじゃ…///」
どうしてあんな事言っちゃったんだろう。
あぁもう、俺のバカ!!
「もちろんわかっているさ。記念に何かプレゼントをしたいとも思ったけど、本音は今度本当に環生を抱く時に身につけていて欲しいと思ったからだよ」
俺のワガママに付き合ってくれるかい?なんてウィンクされたら、もう何も言えなくて、結局ネックレスまでプレゼントしてもらう事になった。
「俺がつけてあげよう。きっと環生に似合う」
誠史さんは店員さんが見てるのもおかまいなしに、ネックレスにキスをしてからつけてくれるから、ただもう恥ずかしかった///
俺に何かを買い与えるのが楽しいのか、買い物好きなのかわからないけど、あれもこれも買ってくれようとするから、『2人きりで海が見たい』って伝えた。
海ならお店もないし、2人でゆっくり過ごせるから。
手を繋いでおしゃべりをしながら、小さな灯台公園を散歩したり、海が見えるベンチで一休みしたり。
潮の香りと波の音、誠史さんの穏やかな笑顔に癒された。
自然の中でお互いの体温を共有してるだけで幸せだったんだ…。
ともだちにシェアしよう!