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第5章 第11話

それから10日後の事。 俺は(ごう)さんの家のリビングにいた。 この前もらったあの呈茶券を持って。 あの日以来、初めての訪問。 その間はLINEでやり取りしていた俺たち。 優しい豪さんは体調を気づかう内容や、『おはよう、おやすみ』の連絡をくれるから、付き合い立てのカップルみたいで楽しかった。 豪さんと駅弁をした時の全身筋肉痛も治ったし、セックスをするためのリハビリもして完全復活したから、今日はあの日のリベンジをするつもり。 俺はすっかり豪さんの体の虜になっていた。 リハビリは皆に手伝ってもらった。 背後に立ってもらって少しずつ慣らしたり、日替わりで皆のベッドに潜り込んで後ろから抱きしめて眠ってもらったり。 最初は痴漢された事を思い出して怖かったけど、少しずつ慣れた。 まだ日常のふとした瞬間にフラッシュバックしてモヤモヤした気持ちになる事はあるけど、背中に触れられる事や抱きしめられる事は怖くなくなったし、バックでセックスもできるようになった。 「お待たせ、紅茶が入ったよ」 「あ、ありがとうございます」 この前と同じブランデーの香りがする紅茶。 今日はちょっとお酒が強めかも。 オトナの味が俺の官能を刺激する。 「体はもう大丈夫?あちこち痛かったでしょ」 「はい…。2、3日は大変でした」 動くの億劫で、おじいちゃんみたいでした…と言うと豪さんが柔らかく笑う。 「じゃあ今日は優しく抱かないと」 そう言って俺の手をそっと握る。 それを望んでここにいるのに、いざエッチな雰囲気になるとドキドキが止まらない。 早く…抱いて欲しい。 瞳を閉じると、顎に手を添えられて唇が重なってきた。 そのまま包み込むように体を抱きしめられる。 今日はお風呂上がりじゃないから、ボディーソープじゃなくて豪さんのにおいがする。 俺を助けてくれたあの日のにおい。 豪さんの二の腕のあたりのシャツをキュッとつかんで甘えると、少しずつ口づけが濃厚になっていく。 体中を撫で回されているうちに甘い吐息がこぼれ始めた。 「ベッドに行こうか」 豪さんはそう囁くと、軽々と俺を抱き上げた。

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