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第5章 第23話side.麻斗
〜side.麻斗 〜
環生 たちとタコ焼きパーティーをした次の休みの事。
今夜は餃子パーティーだ。
先日の一件で懲りたらしい環生は、あまり出かけなくなったし、誰かと連絡を取っている気配もなくなった。
セックスも自粛してるらしく、相手をしてもらえない秀臣 や柊吾 は淋しそうだ。
環生もボーっとしたり、ふとした瞬間に淋しそうな顔をするから、なるべく一緒に過ごすようになった。
俺が仕事で留守の夜も、秀臣と柊吾がホットプレートで焼きそば大会をしたり、手巻き寿司をしたりして環生の側にいるらしい。
ずっと家にいるなら、おかしな男に狙われる事も危ない目に遭う事もなくて安心だ。
でも、基本的に性欲旺盛な環生の体も心配。
素直な環生だけど、頑固なところもあるから、セックスしないと決めたらしたくても意地になって我慢するタイプ。
無理してないといいけど…。
少しお酒が入れば、気持ちよくなって決意が揺らぐかも知れない。
そう思って、今夜はお酒を用意した。
こんな風にこっそり逃げ道を用意してお膳立てしてしまうあたり、自分でも環生には甘いと思う。
でも、環生には笑っていて欲しい。
必要のない我慢なんてしなくていい。
環生が酔いすぎないように、アルコール度数の低めの口当たりのいいカクテルを作る。
環生はほろ酔いで気持ちよさそうに笑いながら餃子を頬張っている。
「お前、最近おとなしいな。今は彼氏候補いないのか」
環生がご機嫌な時に聞きづらい事を聞いてしまおうとする柊吾。
もしかしたら、自分も酔った勢いでないと聞けないのかも知れない。
「いないよ。もう疲れちゃった。でもいいの。来週誠史 さんが帰ってくるから癒してもらうんだ」
ウキウキした様子の環生。
父さんが帰国するなんて初耳だ。
「何だよ、それ。アイツがダメなら今度は父さんか。結局環生はヤレれば誰でもいいのかよ」
柊吾じゃなくて父さんを相手に選んだ環生。
ショックを受けた柊吾が絡む。
「ちょっと、それ失礼だから。俺だって相手選んでるし」
環生も環生でちょっとむくれる。
お互いお酒が入っているから、ちょっと面倒くさい。
「選んでないだろ。だって、俺たちだけじゃなくて父さんやよくわからない会社の同期や隣の奴ともヤッてるし、手当たり次第だろ」
「それはたまたまだよ///周りに素敵な人が多かっただけ。ねー、麻斗さん」
ご機嫌に笑う環生が俺の肩にもたれてくる。
酔った環生も楽しそうで可愛いけど、これ以上しゃべらせると後のフォローが大変そうだ。
「ほら、すぐそうやって色目使って、優しくされた奴になびくんだ」
だから変な男ばっかに引っかかるんだ…と、ヒートアップしていく柊吾。
秀臣は黙ってウィスキーの水割りを飲んでいたけど、ちょっとエッチな目で環生を見ていた。
きっといつもよりゆったりしたニットを着ているから、ほんのり色づいた首筋が丸見え。
美味しそうだとか思ってるんだろうな…。
「酷い!あれから心を入れ替えて自粛してるのに…。柊吾は俺の事そんな風に見てたんだ。俺、皆としたセックス中の言葉や愛撫は全部覚えてるよ。目隠ししても誰にされてるかわかるからね」
ちょっとムキになる環生。
柊吾もそのへんにしておけばいいのに、頭に血が昇っているから引こうとしない。
「じゃあヤろうぜ。環生の言ってる事が本当か証明しろよ」
「いいよ、全部当てて柊吾をぎゃふんと言わせてやるんだから」
あぁ、酔っ払いの勢いって怖い。
どうしてこんな流れになるんだか…。
「よし、決まりだ。秀臣も麻斗もいいな」
「柊吾、落ち着いて。環生も煽らないの」
秀臣に助けを求めたら、思いがけなくヤル気モードになっていた。
あぁ、ダメだ。
当分このメンバーにお酒を飲ませるのは止めよう。
このまま酔った勢いで3Pなんてさせたら環生が抱き潰されてしまう。
それだけは阻止しないと…。
俺たちはこんなおかしな流れで急きょ、利きセックス大会をする事になった…。
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