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第5章 第29話(※)

「はぁ…気持ちよかった…」 目隠しでイッちゃうなんて初めて。 ドキドキしたけど最高に気持ちよかった。 イッた後はいつも抱きしめてくれる柊吾(しゅうご)。 今日は俺の体を起こして後ろから。 柊吾の胸にもたれながら、ほわほわした気持ちで余韻を楽しむ。 麻斗(あさと)さんの口の中に出してしまったのは申し訳ないけど、あったかくて柔らかな中で達するのはすごく気持ちいい。 欲望も存在も、自分の全部を受け入れてもらえる感じがして満たされる。 皆が中出しが好きなのって、これが理由なのかな…。 「麻斗さん…ありがとう…」 「どういたしまして。俺の口の中でイッちゃう環生も可愛かったよ」 ティッシュで口元を拭っている麻斗さんの気配。 飲まずにいてもらえてホッとする。 自分が飲むのは平気だけど、飲んでもらうのはまだ抵抗がある。 「あっ、柊吾。だめ…」 急に柊吾が俺自身に触れた。 手の平で俺の先端を覆うとそのまま高速で擦り始めた。 「待って、柊吾。まだイッたばかりだから…」 敏感になってるから、落ち着くまでそっとしておいて欲しい。 今は柊吾の腕の中でうっとりさせて欲しい。 「今のよりイイ思いさせてやるから」 楽しそうな柊吾の声。 何?今度は何を企んでるの…? されるがままになっていると、くすぐったさの中に快楽が混じってくる。 下半身がムズムズしてくる。 「だめ…何か出そう…///」 「出せよ。環生(たまき)が潮吹くとこ見せてくれよ」 「潮なんて吹けないよ…。だめ、柊吾離して…!」 射精しそうな感じじゃなくて、トイレに行きたい感じがする。 このまま亀頭を撫でられ続けたら漏らしてしまいそう。 「やだやだ、おしっこ出ちゃう…!」 こんなところでなんて絶対嫌だ! いくら俺の事を何でも知ってる皆にでも排泄するところだけは見られたくない。 手足をバタバタさせて柊吾から逃れようとすると、麻斗さんが手を握ってくれた。 「おしっこじゃないよ、環生。汚くないから出していいよ」 「精液でもおしっこでもなかったら何が出るの…?」 とにかくベッドを汚してしまうのが嫌だ。 あんなにお酒飲むんじゃなかった…。 イヤイヤをしながら半泣きで訴えると秀臣(ひでおみ)さんが頭を撫でてくれた。 「大丈夫だ、尿意とは違う。出すと気持ちいいはずだ」 「…本当に…?」 2人が嘘をついてるとも思えない。 本当に気持ちいいのかな…。 「環生、本気で嫌か」 嫌なら止める…と、俺の耳を甘噛みする柊吾。 柊吾はずるい。 ちょっと強引なのに絶対無理強いはしない。 こうやって優しくしてくれながら、優柔不断の俺が決断するのを待ってくれる。 だから俺は嫌って言えない。 ううん、嫌って言いたくない。 柊吾に気持ちよくして欲しいって思ってしまう。 結局、柊吾の思い通り。 恥ずかしいし抵抗はあるけど、ちょっと興味もわいてきた。 今より気持ちいいってどんな感じなんだろう。 「…汚い事するんじゃないならいいかな…って思うけど…。でも、潮なんて吹いた事ないから怖い…」 繋いでいる麻斗さんの手をきゅっと握る。 「大丈夫だ、どんな環生でも可愛いに決まってる。全部俺に託せ」 そう耳元で囁いて、俺を抱きしめる腕に力がこもる。 俺を安心させようとする力強さ。 「大丈夫、環生が出したものは全部タオルで受け止めるから心配しなくていいよ」 麻斗さんは言葉で俺の不安を取り除いてくれる。 口数の少ない秀臣さんは勇気づけるよう体を撫でてくれる。 「柊吾…して…///」 潮吹きたい…なんて言えないから、キスをねだるふりをした。 柊吾は俺にだけ聞こえる声で、任せろ…と囁くと、濃厚なキスをしながらまた先端を強めに擦り始めた。 力を抜いて身も心も柊吾に託すと、さっきより気持ちいい。 じわじわと迫ってくる絶頂とはまた違った快感。 「んっ…ぁ…あぁんっ…///」 出ちゃう…って宣言する前に、一気に高みに引き上げられた感じがして頭が真っ白になった。 見えないからよくわからないけど、たぶん液体がたくさん出てしまった感じがする。 今までに感じた事のない強すぎる快感と、人前で潮らしきものを吹いてしまった羞恥心。 中でイッた時以上に体に力が入らなくて、自分の体なのに自分の体じゃないみたい。 俺…どうなっちゃったの…? 「いっぱい出たな」 満足そうな柊吾の声。 俺が潮を吹くと、柊吾は満たされるのかな…。 「潮を吹いている環生はエッチで可愛かったよ」 「あぁ、最高に綺麗だった」 麻斗さんと秀臣さんが誉めてくれるけど、ボーっとしてしまって上手く言葉が出てこない。 「あっ、あぁん///」 時々やってくる絶頂感と、イッた後の心地いい気怠さ。 頭がふわふわで眠くなってくる。 まだ…誰とも繋がってないのに。 「続き…今夜は止めようね」 麻斗さんはそう言いながら目隠しのストールをほどいてくれた。 急に視界が明るくなって、光が目に染みる。 部屋の明かりが間接照明じゃなかった事を知って絶望的な気持ちになった。 俺の恥ずかしいところ丸見えだったなんて…!! 「でも、まだ…」 これじゃ利きセックス大会じゃなくて、利き愛撫大会だよ…。 「環生が言ってた事は本当だった。あんな些細な愛撫も俺たちのクセも全部覚えててくれたんだな…」 俺が悪かった…と、しょんぼりしながらもどこか嬉しそうな柊吾。 「ありがとう、環生」 秀臣さんは愛おしそうに髪を撫でてくれた。 「ありがとう、環生。すごく嬉しいよ」 麻斗さんも幸せそうに微笑んで、おでこにキスをしてくれた。 「うん…、俺もありがとう。皆に贅沢すぎるほど大切に抱かれてるんだ…って、改めて思ったよ」 全問正解できたのも嬉しかったけど、皆の笑顔を見ていたらもっと嬉しくなった。 皆の幸せは俺の幸せ。 俺の幸せは…きっと皆の幸せ。 「ねぇ、ご褒美に抱いて…。今の気持ちいい状態で抱かれたら、たぶん新しい世界が見える気がする」 「環生、無理はいけない」 秀臣さんは俺を労るように頰にキスをしてくれる。 「大丈夫だよ、秀臣さん。俺…セックスする時の体力だけは自信あるよ」 普段から皆とエッチな事してるから…と、微笑むと秀臣さんは、少し照れたような顔をした。 大人なのに、こういう時の秀臣さんはちょっと可愛い。 目隠しセックスも楽しかったけど、やっぱり皆が見えてる方が幸せ。 「正常位か、対面座位がいいな…」 最初は性欲が強そうな柊吾に抱かれよう。 早く解放してあげないと、柊吾の性器が弾けちゃう。 柊吾もだけど、皆が俺と以外でイクのは嫌。 甘えるように柊吾の手を握った。 「わかった。正常位と対面座位だな」 興奮した様子の柊吾が、早業で俺を寝かせて覆いかぶさってきた。 「えっ、どっちかでいいよ…///」 慌てる俺なんかおかまいなしに、柊吾は俺の首筋に唇を寄せる。 嬉々としてあちこちにキスをするその表情を見てると、両方でもいいかな…って気になってくる。 「いいよ、柊吾。いっぱい抱いて…」 俺はたっぷり時間をかけて、順番に3人の愛情を受け取ったんだ…。

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