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第6章 第14話

空港バスを降りてから麻斗(あさと)さんに電話したら、やっぱりね…って笑ってた。 父さんが環生(たまき)を抱かずに帰る訳ないって思ってたって。 秀臣(ひでおみ)さんと柊吾(しゅうご)には上手く言っておくから、気にせずたくさん甘えておいで…って言ってくれた。 「さすがは俺の息子だ」 なんて、誠史(せいじ)さんは嬉しそうに笑ってる。 結局、全部誠史さんの思い通り。 「もし俺が帰るって言ったらどうするつもりだったんですか?」 ふと疑問に思って聞いてみる。 すぐあきらめちゃう? それとも、何度も誘ってくれる…? 「俺の事を大好きな環生が、そんな事言うはずないだろう?」 自信満々の誠史さん。 まぁ、その通りなんだけど…。 誠史さんに誘われたら、きっとどこでもホイホイついて行ってしまうと思う。 ホテルのチェックインの時間までは空港併設のショッピングモールでデート。 ほぼ手ぶらで来てしまったから、俺の着替えを丸ごと一式買ってもらった。 前の温泉の時もこんな感じだったな…って、懐かしい気持ちになる。 事前に教えてくれたら、着替えくらい持って来たのに。 でも、誠史さんはわざとそうしなかったんだと思う。 誠史さんは自分が選んだ洋服を着た俺を見るのが好きなんだ。 自分好みに仕立てあげた俺を脱がせる事に喜びを感じる人なんだ。 歩いてる時も、コーヒーを飲んでる時も、さり気なく俺を抱き寄せたり、腰やお尻を触ったり。 嬉しいけど、背が高くて素敵な誠史さんは皆の注目の的。 皆が見てるのなんておかまいなしに俺のおでこや頬にキスするから、嬉しいけど…恥ずかしい。 「誠史さん、皆が見てて恥ずかしいから、ちょっとだけ控えめにしてください」 「いくら環生の願い事でもそれは聞けないなぁ。俺は可愛い環生を見せびらかしたいんだ」 …だめだ、誠史さんに常識が通じるはずがない。 俺が甘かった。 「環生は俺と仲良くしているところを見られると困る事があるのかい?」 「そんな事…ないです」 そう、そんな事なんてない。 俺だって誠史さんとイチャイチャしたい。 でも…外では恥ずかしい。 誠史さんにキスされるうちに、体が誠史さんの温もりを求め出してしまうから。 もっと触って欲しい。 もっと触りたい。 早く2人きりになって、愛して欲しいって思ってしまうから…。 そんな欲情したトロトロの顔、公の場所で晒していいはずがない。 そう伝えたら、誠史さんはますます俺にエッチなイタズラを仕掛けてくる。 俺が反応して頬を染める度、俺の顔が見えないように抱きしめてくれる。 これで環生がヤラシイ顔してても恥ずかしくないだろう?って言うけど、誠史さんの温もりやにおいに包まれたらもっとエッチな気分になってしまう。 そんな状態で体の熱が冷める訳ないし、結局もっとエッチな顔を晒す羽目になる。 そんなこんなで、チェックインの時間を迎える頃には、俺の体はもう甘く疼いて仕方なかった。 我慢できなくて、客室へ向かうエレベーターの中で、誠史さんに抱きついて下半身を擦りつける。 着替えのパンツは3枚セットを買ってもらってよかった。 今はいてるパンツはもう濡れてると思うから…。 「もう少しの辛抱だ。可愛い環生の姿は俺にだけ見せてくれるかい?」 イヤイヤをすると、誠史さんは困ったような嬉しそうな顔をする。 俺の腰を抱き寄せて、チュッと唇を重ねてくれた。 部屋に入ると、その場に荷物を置いて抱きしめ合う。 キスを待ってる時間がもどかしくて、自分から唇を寄せた。 舌で誠史さんの口をこじ開けて、夢中で舌を絡めると、お腹の奥がジンジンした。 「今日の環生は積極的だなぁ」 ホテルを予約した甲斐があるなぁと優しく微笑んでくれるけど、おしゃべりする時間があるならすぐにでも抱いて欲しい。 体の熱と欲を満たして欲しい。 「抱いて…誠史さん。誠史さんが欲しい…」 誠史さんのジャケットを脱がせながら、必死におねだり。 硬くなり始めた誠史さん自身を撫で回しながらそう伝えた。

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