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第6章 第18話side.誠史
〜side.誠史 〜
華奢な体を震わせながら、俺の腕の中で果てた環生 。
幸せそうな表情に心が満たされた。
環生は体を繋げたままがいいと言って、俺に体重をかけてきた。
俺が寝そべったのを確認すると、甘えるように体を添わせる。
「気持ちよかったです…誠史さん」
まだ整わない呼吸、汗ばんでしっとりした肌、潤んだ瞳。
「俺もよかった。ありがとう、環生」
髪を撫でると嬉しそうに微笑んだ。
「俺も…ありがとうございます…」
ふにゃりと脱力した環生の重み。
肩にかかったバスローブごと抱きしめて、背中をトントンしていると、環生はそのまま眠ってしまった。
環生は俺の腕の中でも眠れる希少な存在。
息子の秀臣 たちですら、俺の腕の中では寝なかったから。
まだ秀臣たちが幼かった頃、何度か寝かしつけに挑んだが、子供たちは普段仕事で家にいない俺を警戒してなかなか眠らなかった。
『やはり母親が好きなんだろう』そう思って、父親らしい努力をしなかった俺は、結局誰も寝かしつける事ができないまま。
子供たちが俺の腕の中で眠っていたのは、車で眠ってしまった時に部屋へ運ぶその一瞬だけ。
何をしてきたんだろうな、俺は…。
きっと子供たちにも淋しい思いをたくさんさせただろう。
環生にしているみたいに、優しく声をかけて気長に背中を撫でてやればよかった。
そうすれば秀臣たちも安心して俺の腕の中で眠っただろうか…。
「誠史さん…」
寝言で俺の名前を呼んだ環生が身動きをしたから、萎えた自身がするりと抜けてしまった。
環生を起こさないようにゆっくりベッドへ寝かせる。
裸のまま寝かせたら風邪を引いてしまう。
とりあえず体を拭いてやろうと視線を移すと、環生のお尻からトロリと溢れた俺の欲望。
こんなに無邪気で、自分の息子たちと同年代の環生に手を出すなんて大人気ないと思う自分と、環生の純粋さと愛らしさにどうしようもなく魅かれる自分。
環生のまわりはゆったりとした時間が流れていて、日頃の忙しさや仕事の辛さを忘れさせてくれる。
俺の全てを受け入れて、癒してくれる貴重な存在。
環生にも求められたい。
そう思って買い物中はいつもより環生に触れた。
環生が俺を意識するように。
俺の望み通り、環生は普段より強く俺を求めた。
それを嬉しく思う反面、怖いとも思った。
秀臣たちと頻繁に体を重ねている若い環生の性欲を俺1人で満たしてやれるのか…と。
まだ現役のつもりだし、勃起だってする。
一晩で2度くらいできる自信もあったはずなのに、夢中で欲しがる環生の瞳を見て、不安がよぎった。
途中で萎える事が怖くなった。
優しい環生はきっとそれを受け入れてくれるだろう。
勃たなくなった俺を責める事もなく、可愛く微笑んで俺に甘えるように抱きつくだろう。
体の熱をくすぶらせたまま…。
年齢の事も踏まえて、環生に気をつかわせたくはない。
それに、環生の望むものは何でも与えてやりたい。
環生の側にいてやれるのはわずかな間だけだから。
環生には未来がある。
これからたくさん恋をして成長して、人生を共にする相手を見つけて生きていく。
その相手が俺ではない事はわかっている。
環生は俺に甘えているだけ。
環生は俺に、同年代の男にはない抱擁力を求めているだけ。
いずれ環生が離れていく瞬間が訪れる事も、早く手を離してやった方がいいとわかっていても、なかなか手離せない。
幸せそうに眠る姿を見ていると、余計にその思いは強くなる。
もうしばらくは俺の側にいて欲しい。
恋をするのはもう少し後にして欲しいと願ってしまう程に。
「環生…」
俺は柔らかな頬をそっと撫でた…。
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