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第7章 第23話(※)

麻斗(あさと)さんと抱き合いながら、お互いをついばみ合うようなキスをした。 硬くなった下半身を擦りつけ合って、また唇を重ねる。 見つめ合って、触れ合って、手を握って…。 俺から欲しがりすぎると麻斗さんが戸惑ってしまうから、麻斗さんがしてくれるのを待つ。 そのちょっとだけもどかしいひと時もお気に入り。 「可愛いよ、環生(たまき)」 麻斗さんの合図で口を開くと、舌がゆっくりと入ってくる。 「ん…麻斗さん…」 麻斗さんは舌づかいがすごく上手い。 温かくてしっとりした麻斗さんの舌。 口の中をくすぐるみたいに舐められると、もっともっとして欲しくなる。 舌をフェラをするみたいに絡め取られて扱かれると頭がぼんやりして何も考えられなくなる。 麻斗さんの大人のキスはじっくり官能を高めてくれるから、ふわふわした気持ちになって吐息も乱れてしまう。 甲斐甲斐しい麻斗さんは、口の端からこぼれてしまった唾液もキレイに舐めとってくれる。 首筋や鎖骨へキスされる頃になると、腰が勝手に揺れ始めるしお尻も甘く疼く。 我慢できなくて麻斗さんの下半身に手を伸ばす。 指先で先端を撫でたり、手で握って扱いたり。 硬さと熱で俺を欲してくれてるのがわかる。 麻斗さんは胸の先をカリカリと引っかきながら、俺のお尻を丁寧にほぐしてくれる。 「環生…気持ちいい?」 「うん…気持ちよくてとろけそう。麻斗さんは?」 「俺も気持ちいいよ」 2人で気持ちいいのが嬉しくて幸せで、うっとりした状態で体を繋げた。 見つめ合いながらいつもの正常位。 挿れる時、麻斗さんが少しだけ不安そうにしてるのが気になったけど、たくさんくっついたらリラックスしてくれると思った。 「ん…はぁ…あぁん…」 麻斗さんの熱や体積を感じながら身を任せると、快感と幸福感の混じった温かな感覚に満たされる。 「環生、もっとして欲しい?」 「うん、して…。もっと麻斗さんが欲しい…」 麻斗さんはチュッと唇にキスをくれると、高速ピストンを始めた。 いつもより激しめな腰づかいに緊張が走る。 俺は激しくされるのも好きだし、平気だけど、麻斗さんはそうでもないと思うから。 ほら…麻斗さん、俺のために頑張りすぎてる。 呼吸も荒いし、冬なのにおでこに汗をびっしょりかいて。 俺…無理させてる。 だって麻斗さん、眉間に皺を寄せて苦しそう。 「麻斗さん、指でイカせて…」 性器じゃなくたっていい。 そんな辛い思いをしてまで、挿れてくれなくてもいい。 そう思っておねだりしてみたけど、麻斗さんは優しく微笑むだけ。 「大丈夫、環生はちゃんと俺が気持ちよくしてあげるから」 その後も麻斗さんは俺の頬を撫でながら必死に頑張ってくれた。 でも、麻斗さんの様子が気になって全然集中できない。 それをいち早く察した麻斗さんの切ない表情。 麻斗さんの沈んだ気持ちが反映されたかのように、俺の中の麻斗さんが力をなくしていくのがわかる。 「麻斗さん…」 声をかけると、麻斗さんは淋しそうな申し訳なさそうな顔をした。 少しずつ潤み始めた瞳。 麻斗さん、そんな顔しないで…。 そう伝えたくて、ぎゅっと抱きついた。

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