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第7章 第32話side.誠史
〜side.誠史 〜
次の日の朝になると環生 は熱も下がって、一気に元気になった。
昨日の環生は俺の腕の中でほとんど眠っていた。
このまま目を覚まさないのではないかと思うくらいに。
環生はもう元気だから…と、家事をしようとするし、麻斗 が代わりに家事をするからソファーで座っているように言ってもそわそわしている。
視界に入ると気になって休めないんだろう。
秀臣 はお見舞いだと言ってケーキを山ほど買ってきたし、柊吾 は過保護なくらい環生の世話をやく。
息子たちがそれぞれ、人を思いやる気持ちを持つ大人に育っていた事に驚いた。
俺に一つでもこれができていたら、別れた妻は今でも俺の隣で笑っていただろうか。
昨日に引き続き環生の看病係を引き受けた俺は、環生の布団で一緒に過ごす。
部屋にいても食事の支度や洗濯物を気にしているから、半ば強制的に俺の腕の中に閉じこめて情報を遮断する。
「せっかく会えたんだ。俺はゆっくり環生の話を聞きたいなぁ」
そう伝えると、従順な環生は静かにうなずいた。
最初は俺の腕枕におさまって話をしたり、まどろんだりしていたが、昼過ぎになるとモジモジしながら体を寄せ始めた。
「俺…誠史さんとエッチな事したい…」
「まだ病み上がりだろう?今無理をしてぶり返したらどうする」
「だって…せっかく誠史さんに会えたのに…」
淋しそうな表情に胸が苦しくなる。
性欲がわいたなら元気な証拠だ。
少しくらいなら…とは思うが、環生相手に『少し』で止められる気がしない。
なだめるように頭を撫でてみても環生はイヤイヤをする。
「触れ合うだけでいいから。お願い、誠史さん」
一生懸命な訴えに決意が揺らぐ。
会いたくてたまらなかった環生にこんなに求められて拒める訳がない。
「…少しだけ…と約束できるかい?無理はさせたくないんだ」
「できる訳ないけどできる。辛かったら言うから…」
全く我慢する気のない素直な環生も愛らしい。
秀臣たちにもこうやってワガママを言うんだろうか。
可愛らしい仕草や声で触れ合いを求めるんだろうか。
それは俺にだけであって欲しいと願いながら、頬に触れる。
環生は嬉しそうに瞳を閉じて俺からのキスを待っている。
どうやら環生の『触れ合うだけ』は、挿入以外の事全てを指すようだ。
頬に手を添えて唇を重ねる。
約2か月ぶりの柔らかな感触。
愛しい環生の唇の温もりが伝わってきて、胸まで温かくなる。
ついばむように何度か触れていると、環生が瞳を開けた。
「誠史さんのキス…嬉しい…」
頬を染めながら幸せそうに微笑む環生。
この笑顔のためなら何だってしてやりたいと思う。
「俺からもしていい?」
「あぁ、もちろんだ」
嬉しそうな環生は、チュウっと吸いついたり、下唇を甘噛みしたりと、じゃれるような可愛いキスを繰り返す。
お返しに頬や鼻の先にキスをすると、くすぐったそうに微笑みながら真似をして同じ事をする。
そのやり取りを繰り返すうちに少しずつ体の距離も近くなる。
環生の体は少しずつ兆し始めていた。
さり気なく腰を抱き寄せて若い果実に太ももを押し当てると、みるみる硬くなっていく。
「ん…誠史さん…」
その先をねだるような切ない表情。
幼なげな顔立ちの奥に垣間見える大人の艶っぽさ。
本当はもっと濃厚で激しいキスが欲しいんだろう。
「少しだけ…の約束だろう?」
「や…意地悪言わないで」
自分から腰を揺らして昂りを擦りつけてくる環生。
このまま何もしてやらなかったら、俺の太ももで果てるんだろうか。
このまま焦らして反応を楽しみたい気持ちと、必要以上に意地悪をして嫌われたくないという気持ち、誰よりも環生を悦ばせてやりたい気持ち。
「俺…誠史さんの前では我慢したくない…」
可愛らしい環生の唇が紡いだ言葉、潤んだ瞳。
俺の心は環生が発した言葉に大きく突き動かされた。
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