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第7章 第34話side.誠史

〜side.誠史(せいじ)〜 「父さん…、俺は父さんに環生(たまき)の看病をお願いしたつもりだったんだけど…」 明らかに呆れた様子の麻斗(あさと)が俺の着替えを差し出した。 「あぁ、そうだな。世話をかけてすまない」 環生の布団に横になったまま着替えを受け取る。 昨日、夜になっても熱が出なかった環生に『やっぱりしたい。もう元気だから抱いて』とねだられて、結局体を繋げた。 久しぶりに抱いた環生は相変わらず愛らしかったし、敏感でいつになく貪欲だった。 『俺も舐めたい。誠史さんの濃い精液飲みたい』 『早く挿れて。もうおかしくなっちゃう』 『誠史さん、もう1回。今度はバックでイカせて…』 今思い出しても下半身が反応してしまいそうな卑猥な言葉の数々。 潤んだ瞳で求められた俺は、環生を満たすために夢中で腰を振り続けた。 飢えた体に一滴残らず搾り尽くされた後、裸のまま気絶するように眠ったのがまずかった。 今朝になったら37.8℃の熱が出ていた。 「環生が『俺のせいなの』って申し訳なさそうにしていたから、大体の予想はついているけど…」 「…仕方ないだろう。久しぶりに会った環生が可愛かったんだ。麻斗ならわかるだろう?」 いつもより冷たい麻斗の視線に気づかないふりをして開き直る。 「わからなくもないけど、父さんはいい大人なんだから…」 わざとらしいため息をつきながら麻斗が立ち上がる。 「もうすぐ環生が雑炊を持ってくるから、しっかり食べてよく休んで」 「あぁ、すまない」 麻斗は部屋を出る直前に、そうだ…と、振り返って俺を見た。 「…熱は汗をかけばすぐに引くとか言って、どさくさ紛れに環生に手を出すのは禁止だからね」 念を押すかのような麻斗の言葉。 「いくら何でもそんな事する訳ないだろう?」 「さぁ、どうだか…。無理せずお大事に」 「すまないな。お前たちが子供の頃、熱を出しても碌に看病もしなかった父親なのに」 「昔の事だしもういいよ。俺に気をつかう余力があったら少しでも早く治して環生を安心させてあげて」 麻斗は少し微笑むと、お大事に…と、部屋を出ていった。

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